『未来ちゃん』で一躍人気写真家となり、その後も写真集の発表や、商業媒体での活躍を通して、高い評価を得ている川島小鳥。川島は、その時々の被写体の瑞々しい姿を写し取ることで、高速で変化し続ける現代社会の「いま」の一側面を、豊かな情感とともに表現し続けてきた。
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詩人・谷川俊太郎との共著『おやすみ神たち』の発表、台湾の日常を切り取った『明星』での木村伊兵衛賞受賞など、その写真は多様な求心力を発揮するいっぽうで、デビューから10年を経たいまも、美術・写真の批評的文脈では充分にとらえられていない、未知の領域も広がっている。
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『美術手帖』9月号では、美術・文化史のなかに川島小鳥を位置づけることで、その作品を改めて見つめ直し、ポップさの先にある、表現の奥行きを探る。
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巻頭の20ページにわたる撮り下ろしでは、女優・石田ゆり子を被写体にしたフォトストーリーを掲載。谷川俊太郎、祖父江慎、峯田和伸(銀杏BOYZ)らのコメントともにたっぷりのビジュアルで既刊写真集を振り返るビジュアルページ「川島小鳥の写真集をめぐる」。公私共に親交の深い岡村靖幸へのインタビュー。さらに、川島のミューズである俳優・太賀と女優・森川葵が初共演した写真集『昨日の君、明日のあなた』の特別付録も。