トランプ大統領がイランの文化施設を攻撃対象とする可能性に言及していることについて、波紋が広がっている。
トランプ大統領は4日、米軍によるイランの司令官殺害に対し、イランが報復に出れば52の目標を攻撃すると発表。CNNによると、5日夜にもアメリカがイランを攻撃する場合、イランのの文化施設を標的とする可能性について改めて言及したという。
この状況に対し、ユネスコはアズレー事務局長がイランの担当大使と会談。アメリカとイラン両国が武力紛争時の文化財保護条約と世界文化遺産および自然遺産の保護に関する条約を批准していることを指摘するとともに、アメリカは2017年の国際連合安全保障理事会における文化財保護のための決議にも署名していることにも言及。文化遺産と自然遺産が対話の媒介となることを強調したという。
またアメリカのゲティ財団は、理事長ジェームス・キュノの名義で「Getty Stands against Threats to Cultural Heritage」とした声明を発表。アメリカの名前は出していないものの、「今日、文化遺産のさらなる破壊について脅威があることは悲劇だ」とし、文化財について「私たちはその存在を祝福し、保護を強化し、国際法を強化するために働き、世界の古代文化について、よりきめ細かい理解に向かうべきだ」と暗にアメリカの攻撃を牽制している。
加えて、世界各地の美術館・博物館関係者4万人以上が加盟する、世界で唯一のグローバルな博物館組織ICOM(アイコム、国際博物館会議)は6日、「ICOMとICOMOS(国際記念物遺跡会議)は、文化遺産の意図的な破壊を共同で強く非難する」という声明を発表。このなかで武力紛争の際の文化財の保護に関する条約(1954年ハーグ条約)に触れつつ、次のように指摘した。「我々はすべての当事者に対し、宗教的信念または政治的意図にかかわらず、武力紛争を支配する国際協定を尊重し、世界の文化遺産がどこにあってもそれを保護することを求める」。