〈映像演劇〉という新しい演劇のかたち。チェルフィッチュの演劇公演/展覧会が熊本市現代美術館で開催

昨年20周年を迎えた演劇カンパニー「チェルフィッチュ」。チェルフィッチュ全作品の脚本と演出を務める岡田利規が映像作家の山田晋平と取り組む「映像演劇」が集まる展覧会が熊本市現代美術館で開催される。初の映像展示となる本展の会期は2018年4月28日〜6月17日。

チェルフィッチュ 楽屋で台本を読む女 2017–18 プロダクションショット

 1997年に設立された演劇カンパニー「チェルフィッシュ」は、独特な言葉と身体の関係性を用いた手法の作品を発表し、国内外で高い注目を集めてきた。アメリカ軍がイラク空爆を開始した2003年3月21日を含む5日間の若者たちの日常を描いた『三月の5日間』は、第49回岸田國士戯曲賞を受賞。本作品で国外進出を果たして以来、世界70都市での上演歴とともに活動の幅をさらに広げている。

チェルフィッチュ 働き者ではないっぽい 3 人のポートレート 2017–18 プロダクションショット

  熊本市現代美術館で開催する「渚・瞼・カーテン チェルフィッチュの〈映像演劇〉」とは、チェルフィッチュ全作品の脚本と演出を務める岡田利規が、「境界のありよう」をテーマにつくる「映像演劇」によって構成される演劇公演/展覧会だ。「映像演劇」とは、岡田が映像作家の山田晋平とともに取り組み始めた新しい形式の演劇であり、プロジェクションされた映像が人の感覚に引き起こす作用によって、展示空間を上演空間へと変容させるというもの。

 作品は、塚原悠也(contact Gonzo)が、閉じられたドアの向こう側について観客に話しかける《A Man on the Door》、カーテンのように設置された半透明のスクリーンに7人の人物が現れる群像劇《The Fiction Over the Curtains》、「映像演劇」が上演されているステージと、それを観ているはずの観客側の空間が交錯する《楽屋で台本を読む女》などの6本に加え、岡田による書き下ろしテキスト《渚》《瞼》《カーテン》も発表。

チェルフィッチュ The Fiction Over the Curtains 2017–18 プロダクションショット 撮影=加藤甫

 チェルフィッチュにとって初の映像展示となる本展。リアルとフィクション、舞台と観客席といった領域が不確かなものとなっていく「映像演劇」は、新たな演劇のあり方を見せてくれるだろう。

編集部

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