1910~20年代のヨーロッパで生じ、とくにビジュアルデザインの領域において特徴的な表現様式をもたらした「構成主義」。エル・リシツキー、ヤン・チヒョルト、マックス・ビルといったアーティストやデザイナーが時代を超えて共有したこの様式は、今日のビジュアルデザインの基盤を形成している。
20世紀を彩ったそんなポスターの数々を、株式会社竹尾のポスターコレクション(多摩美術大学寄託)から厳選して紹介する展覧会「20世紀のポスター[図像と文字の風景]―ビジュアルコミュニケーションは可能か?」が、東京都庭園美術館で開催される。会期は2021年1月30日~4月11日。
3章構成の本展では、130点のポスターを紹介。1章「図像と文字の幾何学」では、第二次世界大戦後のビジュアルコミュニケーションのあり方を導く歴史的な役割を果たしたスイス派、ウルム派に代表される、インターナショナル・スタイルの継承と展開をたどる。
2章「歴史的ダイナミズム」では、そのルーツともいうべき戦前のロシア構成主義やバウハウス、ニュータイポグラフィを象徴するポスターを展示する。そして3章「コミュニケーションのありか」では、70年代以降に登場したニュー・ウェイヴやポストモダンデザインと称される潮流を総覧。20年代の勃興から90年代のコンピューター・グラフィックスにいたるまで、物語をたどるように「構成的ポスター」発展を見ることができる。
ポスターの「図像と文字の織りなす風景」から、現代のビジュアルデザイン文化の源流をたどる本展。「ポスターとは何か」「いま私たちはポスターをいかに見るべきか」という視点を提示し、デジタル化が進む現代、そして未来におけるポスターの存在意義を問う内容となる。