武蔵野美術大学 美術館・図書館で、同大の若手・中堅層の教員7名による小企画「部屋と庭 隔たりの形式」展が開催される。会期は11月30日~12月19日。
本展は「部屋と庭」をめぐって想起される、日用品と記憶、時間と痕跡といった様々な事象を起点とするもの。石川卓磨、後藤映則、小林耕平、杉浦藍、鈴木基真、冨井大裕、森田浩彰の作品を紹介する。企画協力は同大美学美術史研究室 教授の松浦寿夫。
石川は近年、高速連写による写真を用いた映像作品を制作。後藤は古くから存在する手法やメディアをとらえ直し、3Dプリンターなどのテクノロジーと掛け合わせることで、時間や動きの可視化を試みる。小林はパフォーマンスや対話の様子を記録した映像作品やインスタレーションを制作し、鑑賞者の認識の転換を喚起する。
杉浦は彫刻や写真を用いた作品を通して、日常にある裏表を持つ物質や空間、日常から非日常へ横断するもののあり方を考察。鈴木は映画やゲーム、インターネット上の画像をもとにした建物や街をモチーフに、インスタレーションによって風景を生み出す。
冨井は既製品に最小限の手を加え、彫刻の新たな可能性を模索する作品で知られている。そして森田は、生活のなかで当たり前に存在しているがとくに意識されない物事を見つめ、それらのなかに折り重なるコンテクストや関係性を可視化する。
7名の作品が織りなす「隔たりの形式」は、見過ごしがちな日常の風景のなかで、大きくゆらぎ、かたちを変えていく世界の姿を再認識するひとつの試みとなるだろう。