2020.10.18

アッセンブリッジ・ナゴヤが今年も開催。「港まち」を舞台に折元立身、三田村光土里、ミヤギフトシらが作品を制作

名古屋の名古屋港~築地口エリア一帯の「港まち」を舞台としたアートイベント「アッセンブリッジ・ナゴヤ」が、今年も開催される。会期は10月24日〜12月13日。

「アッセンブリッジ・ナゴヤ2020」メインビジュアル
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 名古屋の名古屋港~築地口エリア一帯の「港まち」を舞台としたアートイベント「アッセンブリッジ・ナゴヤ」が今年も開催される。会期は10月24日〜12月13日。

 アッセンブリッジ・ナゴヤは2016年にスタートした音楽と現代美術のふたつの柱からなるイベントで、街中を舞台にアート、サウンドブリッジ、音楽の3部門からなる多彩なプログラムが行われる。

 アート部門では、16年から継続する「パノラマ庭園」のタイトルを冠した現代美術展「パノラマ庭園─亜生態系へ─」を開催。上田良、L PACK.、折元立身、丸山のどか、三田村光土里、ミヤギフトシが参加する。5年目として区切りとなる今年は、「つくる/うまれる場所」としての「港まち」という原点に立ち返り、各アーティストが制作を実施した。

アッセンブリッジ・ナゴヤ2019 山本高之と名古屋オリンピック・リサーチ・コレクティブ[N.O.R.C.]《Days of Future Past》 撮影=冨田了平

 上田良は約1ヶ月「港まち」に滞在し、その間に制作した要素を取り入れた新作の展示を行う。小田桐奨と中嶋哲矢のユニットL PACK.は「コーヒーのある風景」をテーマに、コミュニケーションの場をさまざまな地域で創造してきた。今回は2016年より続く空き家を再生するプロジェクトを継続する。

上田良 制作の様子

 これまで世界各地で開催してきた「おばあさんとのランチ」のプロジェクトを、港まちのおばあさんを招いて行った折元立身。2年にわたるプロジェクトとして、今回はその記録映像を発表する。丸山のどかは名古屋一帯の地域性から自身が感じ取ったトピックと、個人的な経験にまつわるエピソードを重ね合わせたテーマをもとに「港まち」で制作した新作インスタレーションを発表する。

 三田村光土里は海外に住む友人との再会をテーマにした映像作品《Till We Meet Again》(2013)を上映。また、会期中は旧・名古屋税関港寮で滞在制作を行う。ミヤギフトシはあいちトリエンナーレ2016で発表した映像インスタレーション《いなくなってしまった人たちのこと/The Dreams That Have Faded》と、その続編となるイタリアと名古屋港で撮影した新作《音と変身/ Sounds,Metamorphoses》(2020)をインスタレーション形式で発表。「港まち」の複数の会場でも展示を実施する。

ミヤギフトシ リサーチの様子

 今年の展覧会タイトルにある「亜生態系」は、美学者であり庭師の山内朋樹が提示した、「ありふれた草花や鉢植えがそこにあることが、失調した世界に、わずかばかりの秩序をあたえている」状態を指す言葉から取られたもの。「オープンエンド(おわりなき過程)」「境界をまたぐ」「移動と交換」「ポイエシスとミメーシス(制作と再現)」などをキーワードに、それぞれのアーティストのプロジェクトが「パノラマ庭園」として展開される。

 アート部門のほかにも、サウンドブリッジ部門や音楽部門による公演をはじめ、様々なプログラムが連日開催される「アッセンブリッジ・ナゴヤ」。「港まち」という空間と一体化したかたちで、芸術を体感できるイベントとなっている。