リチャード・セラ、日本では約20年ぶりの個展。日本の美学から受けた影響を語る
アメリカを代表するアーティストのひとり、リチャード・セラ。その個展が青山のファーガス・マカフリー 東京で展示されている。本展では、新しいドローイングシリーズ「オリエント」を発表。作家の動作と素材の相互作用を視覚化し、素材の物理的性質を明らかにするものだ。会期は9月26日まで。
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2020年8月22日追記:本展会期は9月26日まで延長された。
アメリカを代表するアーティストのひとり、リチャード・セラの新しいドローイングシリーズ「オリエント」が、青山のファーガス・マカフリー 東京で展示されている。本展は、セラにとって約20年ぶりとなる日本国内での個展。会期は8月29日まで。
1970年にセラは、第10回東京ビエンナーレとして知られる「人間と物質」展へ招聘され、自身初の野外彫刻《To Encircle Base Plate (exagram)》を制作。この日本訪問が強い衝撃を与え、のちにセラは、ハル・フォスターとのインタビューのなかで「風景を扱う作品と彫刻作品の両方で、厳格な日本庭園が知覚範囲内における時間の探求に影響を与えた」と話している。
50年以上にわたり、セラが生み出してきた彫刻とドローイングは、時間のなかに設置される行為へのセラの関心と研究を反映したもの。記念碑的でサイト・スピシフィックな彫刻の到来が予見されるなか、セラは、71年に始まる黒の厚塗りの作品以降、ドローイングの境界を押し広げてきた。
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「それは私と物質との関係から生まれてくる。物質は自身の本質を決定づけ、物質の理法が私達の行為を決定づけ、物質の変動性が私達の行為を変容させるのだ」と語るセラ。現在展示中の「オリエント」シリーズでは、比喩と含意の仕掛けを避け、ドローイングの素材の物理的性質を明らかにしている。
本シリーズの制作プロセスは、平らな表面に、インパストやエッチングインク、シリカなどの様々な顔料でつくった黒色を厚塗りし、その上に丈夫な紙をプレス。最後に黒の塊が乗った紙を取り除くと、粘り気のある不規則な鉛の質感が現れる……というものだ。鉄の道具と体重だけで顔料を動かし、ユニークな画面を生み出す本シリーズは、作家の動作と素材の間のダイナミックな相互作用を視覚化したものといえるだろう。
セラの制作に影響を与えた日本で、作品が持つ重要性を再考する本展。この開催を記念して、ファーガス・マカフリーは、セラ自身が、日本の美学がいかに自身の制作に影響を与えたかを語る短編映像も配信。これはギャラリーの新たなデジタル・プラットフォーム「FM Forward」から見ることができる。
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