2018.9.11

「世界を変える美しい本」を生むインドの出版社。「タラブックス」の全容をたどる展覧会が巡回中

南インド・チェンナイの出版社「タラブックス」の本づくりの全容を伝える展覧会「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」が、静岡県のベルナール・ビュフェ美術館で開催される。日本初となるこの展覧会は好評を博しており、昨年から東京・愛知と巡回。会期は11月10日〜2019年1月14日。

『猫が好き』(2009) 原画 
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 南インド・チェンナイの出版社「タラブックス」は、1994年の設立後、ギータ・ウォルフとV.ギータという2名のインド人女性が中心となって活動を行っている。

 タラブックスから刊行されている絵本は、インドの民俗画家による絵を、ふっくらとした風合いの紙に版画技法で印刷し、職人が糸で製本したという工芸品のような魅力を持つもの。また同社では、そういった美しいハンドメイド本以外にも教育や社会問題をテーマにしたものや、本の形状に特徴があるものなどを刊行しており、その多彩なアプローチで世界各国にファンを増やしてきた。

『夜の木』より「飲みすぎにご用心」原画

 多様な民俗芸術の伝統があるインドにおいて、画家たちは、住居の壁や床にペインティングをしたり、工芸品をつくっていくなかで自由な視点や表現を獲得。その土着的で豊かな芸術表現を持つ画家と、編集者、デザイナー、印刷職人らの団結によって生み出される本は、世界に様々な見方や価値があることを示している。

 今回、静岡県のベルナール・ビュフェ美術館で開催される「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」展は、タラブックスの本づくりの全容を伝える初の展覧会。同展は、昨年より板橋区立美術館(東京)・刈谷市美術館(愛知)で開催され、本展はその巡回展。ハンドメイド本を中心に、その他の本、原画、写真、映像などを通じ、タラブックスの軌跡をたどることができる。

『夜の木』より「飲みすぎにご用心」