写真家・濱田祐史が生み出すカラーネガフィルムの標本のような世界。新作展「R G B」をチェック

写真家・濱田祐史の個展「R G B」が、東京・東麻布のPGIで開催される。本展は、光の三原色を制作テーマに据えて、カラーネガフィルムに露光された色と粒子そのものを写し取った新作群で構成される。会期は9月7日〜10月27日。

濱田祐史 Kodak Professional Ektar 100_01 © Yuji Hamada, Courtesy of PGI

 濱田祐史は1979年大阪府生まれの写真家。2003年に日本大学芸術学部写真学科を卒業後、出版社での勤務を経て、06年よりフリーとしての活動をスタートさせた。近年のおもな個展に「C/M/Y」(PGI、東京、2015)、「photograph」「Primal Mountain」(GALLERIE f5.6、ミュンヘン、2016)、「Broken Chord」(2017)など。そのほか、スイスのフォトフェスティバルImages Vevey(2014)、フランスのエクス=アン=プロヴァンスフォトフェスティバル(2015)などの国際的な展覧会にも参加してきた。

 今回、東京・東麻布のPGIで開催される個展「R G B」は、15年に同ギャラリーにて開催された個展「C/M/Y」に続く、色と光を考察する作品シリーズの第2弾。光の三原色を制作テーマに据え、フィルムに露光された色と粒子そのものを見たいという濱田の思いから、白をバックに影を被写体として、R(赤)G(緑)B(青)のフィルターを使用し、多重露光で撮影されている。

濱田祐史 AGFAPHOTO vista plus 400_01 © Yuji Hamada, Courtesy of PGI

 濱田は本シリーズを制作するにあたって、身近に入手することのできるカラーネガフィルムを買い集め、それぞれのフィルムが持つ色や粒子のポテンシャルを可視化するため、撮影や暗室での条件をすべて統一。作品タイトルは使用したフィルムの名前になっており、図鑑や標本のように、現在入手できるフィルムが表現する色を意識的に保管することを実践している。個人的な視座に端を発しながらも、制作の手法をフィルムの特性に委ねることで、いまを記録するという試みを見せている。

 実体を写さず影を撮影することで純粋にそこにある色を見せ、多重露光によって抽象的な空間を演出する本シリーズ。モチーフの不在は、写真の持ちうる空間性と想像域を広げ、見る者は「見えないことによる美」の存在に思いを馳せることができるのではないだろうか。

編集部

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