「無意味、のようなもの」とは?
無意味について問う展覧会、
福島・はじまりの美術館で開催

一見意味のないように思える行動やその痕跡。 そのような「無意味さ」に着目した展覧会が、福島県・はじまりの美術館で開催される。会期は2018年4月14日~7月16日。

福田尚代 ソラナックス製ボートとハルシオン丸 2004〜18 ©Naoyo Fukuda, courtesy Yukiko Koide Presents

 「無意味」のように思える行動やその痕跡に出会うときに、どのような感情を抱くだろうか。「意味があるのだろうか」と考えてしまう行為をしたり、そのような作品を制作する作家による展覧会「無意味、のようなもの」が福島県・はじまりの美術館にて開催される。

 展覧会はまず、身近な素材で表現された多様な作品を紹介する。

 

 けうけげんによる、広告の裏に描かれた架空の芸人や、田中偉一郎よる一枚の板をスマートフォンに見立てている作品、平野喜靖が描く言葉や日付などがぎっしりと描かれた作品、福田尚代による薬の錠剤を舟に見立てている作品など、身近な素材を使用した作品はユーモアがありつつ、視点を変えることで見えてくる世界を提示するものだ。

田中偉一郎 板Phone 2014

 また、行為も作品となりうる。吉田格也は毎日決まったペットボトルを並べ続け、酒井美穂子は何かを制作するわけではなく、一日中サッポロ一番の即席麺が入った袋を握りしめる。酒井の通う施設であるやまなみ工房では、その行為を彼女の表現とし、日付を貼り保管してきたという。本展では、その周囲とのかかわりも含めて生まれた酒井の作品を、意味を揺さぶるものと捉え展示。

酒井美穂子 サッポロ一番しょうゆ味 1997〜

 そのほか、体験できる展示として、今井さつきの「人間ノリ巻」に参加ができる。この作品は会期中に今井が滞在しているとき、希望するとノリ巻きに巻かれて具材になれるという、体験者がいてはじめて完成する作品だ。

今井さつき 人間ノリ巻き 2013

 展覧会会期中のカフェスペースには、「こだわり掲示板」が設置される。人から見ると無意味に見られるかもしれない、自分が日頃こだわっていることや、ついやってしまう癖などを来館者が自由に記入し、共有し合うというものだ。自分の中の無意味な行為に向き合うことで、展覧会をより深く楽しめる。

 日々の生活にひそむ「無意味さ」を、視点を変えて楽しむことのできる展覧会。イベントも多数予定されており、そちらにも注目したい。

編集部

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