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シュ・ビン(徐冰)インタビュー。「芸術の機能は文明の行き先を感じ取ること」

実際には存在しない「偽漢字」を使った作品で世界的に知られる中国のアーティスト・シュ・ビン(徐冰)。国立新美術館の「遠距離現在 Universal / Remote」では、それまでの作品とは大きく異なる映像作品《とんぼの眼》を日本の美術館において初めて発表した。来日した徐冰に、同展キュレーターの尹志慧と同館館長・逢坂恵理子がインタビュー。本作の制作背景に迫った

聞き手=尹志慧・逢坂恵理子 ポートレイト撮影=稲葉真 構成=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)

シュ・ビン(徐冰)

──今回、展覧会に出していただいている作品は監視カメラの映像のみでつくり上げられた映画作品です。シュさんはこのメイキングフィルムのなかで、「この映画で提示したいのはいまの時代、既存の概念は通用しないということだ。そして肖像権は受動的で客接的で、既存の知識では現在の肖像権の在り方は定義できない。そして監視の在り方もまた同じで定義できない。 既存の法律は監視技術の発達前につくられたために、複雑な状況に対応できない。 監視とは何か。その定義は制作中にも変化した。実際、すでに現在はポスト監視社会だ。すべての概念に違和感が生まれた」とおっしゃっていました。 具体的にそれはどのような変化ですか? またパンデミックを経て、さらに変化しましたか?

徐冰 とんぼの眼 2017
ヴィデオ、ライブ配信サイトで公開されている監視カメラ映像からの抜き出し(81分)
作家蔵
©Xu Bing Studio
Courtesy of the Artist

 まず監視の認識ですが、私はどのプロジェクト、作品でもなんらかの問題を掘り下げたい気持ちがあります。プロジェクトや作品は、私に深く考える機会を与えてくれるものですから。

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