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ゲルハルト・リヒター・アーカイブに見る、リヒターの生き様

今年90歳を迎えたゲルハルト・リヒター。生まれ故郷、東部ドイツの古都ドレスデンで、リヒター本人が作品を選び、構成した展覧会「ゲルハルト・リヒター。ポートレート。ガラス。アブストラクト」が開催されている。ガラスパネルを使ったインスタレーションや肖像画など40点が3つの部屋に並ぶ展示だが、この構成にはリヒターの個人的な思いやメッセージが色濃く反映されているようだ。ドレスデンのゲルハルト・リヒター・アーカイブを率い、著作「評伝ゲルハルト・リヒター」でも知られるディートマー・エルガー博士に話を聞いた。

文=河内秀子 写真=Gianni Plescia

「ゲルハルト・リヒター。ポートレート。ガラス。アブストラクト」展示風景より

 ドレスデンの国立美術館アルベルティヌム。ゲルハルト・リヒター・アーカイブは2006年にこの中に創立された。関連書籍や記事などを集める資料室だが、展覧会も企画している。アトリエから新しい試みの作品を公表するときはこの場所を通すことが多いそうで、2014年に描かれた「ビルケナウ」シリーズや17年から取り組んでいるドローイングシリーズも、お披露目はここだった。リヒターにとってはホームグラウンドのような存在なのかもしれない。

 「ゲルハルト・リヒター。ポートレート。ガラス。アブストラクト」。最初の部屋には、中央にインスタレーション《9枚の垂直に立つガラス板》が設置され、左側に《4900カラー》、右側に《ストライプ》が置かれている。手前と奥には大きな鏡。左右の絵を見ながらゆっくりと部屋の中を歩いていくと、カラーパネルの前を行き交う観客の姿がガラス越しにふっと半透明になったり現れたりと、不思議な視覚効果が現れる。向かい合った鏡の中には展示空間の像が無限に続いていく。

奥に置かれた《4900カラー》とその前を行き来する観客を映し出し、様々にそのイメージを変える《9枚の垂直に立つガラス板》
途中から構成を変えて展示が決まった《ストライプ》

 いかにもアーティストの視点で構成された展覧会だと、エルガー博士は言う。

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