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2020.1.18

実業家が建てた美術館「ザ・ブロード」はなぜ人々を魅了するのか?

2015年にロサンゼルスのダウンタウンにオープンした「ザ・ブロード」。金融と建設事業で大きな成功を収めた富豪イーライ・ブロードとその妻エディスのアートコレクション約2000点が収蔵・公開されている。オープン以降、圧倒的な人気を誇る同館の魅力を取材してきた。

文=國上直子

ザ・ブロードの外観 Photo by Mike Kelley, courtesy of The Broad
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予測の3倍、1年間で82万が来館

 選りすぐりの現代美術が無料で公開されるということで、「ザ・ブロード」はオープン当初から大きな話題を集めていた。同館は、金融と建設事業で大きな成功を収めた富豪イーライ・ブロードとその妻エディスのアートコレクション約2000点が収蔵・公開されている美術館。セレブリティらによって、特徴的な建物や、草間彌生の「インフィニティー・ルーム」などの様子が、ソーシャル・メディアで拡散されると、普段アートに興味がなかった層にも同館の存在が知られるようになる。開館から1年間で来館者数は82万人を記録。これは美術館の事前予測の3倍となるものだった。

イーライ・ブロードとエディス・ブロード Photo courtesy of The Broad

 最初の半年間の来館者分析では、「6割が非白人、7割が34歳以下、その多くが現代美術についてほぼ知らない」ことがわかった。これは、「美術館来場者のコア層は中年の白人」という、それまでの通念を覆す結果であった。

 オープンから4年あまりたったいまも、ザ・ブロードには年間80万人以上の人々が訪れている。通りの反対側にある、ロサンゼルス現代美術館の年間来館者が28万人(2018年度)であるのと比較すると、ザ・ブロードの人気の高さがうかがえるだろう。現在、ザ・ブロードはロサンゼルスに欠かせないアート・スポットとしての地位を確立している。

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