実業家が建てた美術館「ザ・ブロード」はなぜ人々を魅了するのか?
2015年にロサンゼルスのダウンタウンにオープンした「ザ・ブロード」。金融と建設事業で大きな成功を収めた富豪イーライ・ブロードとその妻エディスのアートコレクション約2000点が収蔵・公開されている。オープン以降、圧倒的な人気を誇る同館の魅力を取材してきた。
![](https://bt.imgix.net/magazine/21173/main/1579076602527_34d845e5ab7cd541b59c1edfcbee8413.jpg?auto=format&fm=jpg&w=1472&h=828&fit=clip&rect=0,50,960,540&v=9)
予測の3倍、1年間で82万が来館
選りすぐりの現代美術が無料で公開されるということで、「ザ・ブロード」はオープン当初から大きな話題を集めていた。同館は、金融と建設事業で大きな成功を収めた富豪イーライ・ブロードとその妻エディスのアートコレクション約2000点が収蔵・公開されている美術館。セレブリティらによって、特徴的な建物や、草間彌生の「インフィニティー・ルーム」などの様子が、ソーシャル・メディアで拡散されると、普段アートに興味がなかった層にも同館の存在が知られるようになる。開館から1年間で来館者数は82万人を記録。これは美術館の事前予測の3倍となるものだった。
![](https://bt.imgix.net/magazine/21173/content/1579076649867_05c78823bc251ebab46eb5215d39ffaa.jpg?auto=format&fm=jpg&w=1920&h=1080&fit=max&v=0)
最初の半年間の来館者分析では、「6割が非白人、7割が34歳以下、その多くが現代美術についてほぼ知らない」ことがわかった。これは、「美術館来場者のコア層は中年の白人」という、それまでの通念を覆す結果であった。
オープンから4年あまりたったいまも、ザ・ブロードには年間80万人以上の人々が訪れている。通りの反対側にある、ロサンゼルス現代美術館の年間来館者が28万人(2018年度)であるのと比較すると、ザ・ブロードの人気の高さがうかがえるだろう。現在、ザ・ブロードはロサンゼルスに欠かせないアート・スポットとしての地位を確立している。