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2018.11.13

村上隆からマウリツィオ・カテランまで。上海で見るべき展覧会ベスト5

中国の経済中心地である上海。ここで2つのアートフェア「ウェストバンド アート&デザイン」「ART021 Shanghai」が開催され、今年12回目となる上海ビエンナーレもスタートするなど、上海アートシーンが盛り上がりを見せている。これらにあわせて、上海の美術館やギャラリーでは多種多様な展覧会も開催。そのなかからとくにチェックしたいものをピックアップしてお届けする。

マウリツィオ・カテラン「THE ARTIST IS PRESENT」展の会場風景
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村上隆、中国本土で初の個展。TAKASHI MURAKAMI IN WONDERLAND(ペロタン上海)

「TAKASHI MURAKAMI IN WONDERLAND」の会場風景

 パリを拠点に、ニューヨークや香港、韓国、東京など世界各国でスペースを展開するペロタン。その最新のスペースが、上海随一の観光エリア・外灘(ワイタン)地区にオープンした。ここでは11月10日より村上隆の個展「TAKASHI MURAKAMI IN WONDERLAND」がスタート。

 村上にとって、中国本土では初めてとなる今回の個展。会場には全長15メートルにおよぶ「お花」を描いた大作のペインティング《Untitled》が存在感を放つほか、「お花」を擬人化させた黄金の立体作品《Untitled》、「お花」モチーフを個別のパネル作品にした新作シリーズなど24点を発表。すべてが2018年の新作だ。

 なお、壁紙まで覆い尽くした「カワイイ・ショップ」も忘れずチェックしたい。

会期:2018年11月10日〜2019年1月5日
会場:ペロタン上海
住所:3/F, 27 Hu Qiu Road, Huangpu District, Shanghai

オープニングには村上隆本人も登場
会場風景より、《Untitled》(2018)
「カワイイ・ショップ」の内部

ルイーズ・ブルジョワ、中国初の大規模個展。「Louise Bourgeois: The Eternal Thread」(ロン・ミュージアム ウェストバンド)

龍美術館(ロング・ミュージアム)外観

 六本木ヒルズに設置されている巨大な蜘蛛のパブリック・アート《ママン》でも知られるルイーズ・ブルジョワ(1911〜2010)。その中国初の大規模回顧展の会場は、ウェストバンド地区にあるプライベートミュージアム、龍美術館(ロン・ミュージアム)だ。中国のコレクター夫妻が2014年に開館したこの美術館は、3万3000平米の敷地に1万6000平米もの展示面積を誇るこの巨大なもの。

会場風景より、《ママン》(1999)

 ここで開催中の「Louise Bourgeois: The Eternal Thread」では、イギリス・テートが所蔵する高さ10メートルもの巨大な《ママン》がメインの展示室で来場者を出迎えるほか、1940年代の立体作品から晩年に取り組んでいたファブリックの作品まで、ブルジョワの作品を多角的に紹介。巨大な展示空間を存分に生かした展示に注目したい。

会期:2018年11月3日〜2019年2月24日
会場:龍美術館(ロン・ミュージアム)ウェストバンド
住所:3398 Longteng Avenue, Xuhui District Shanghai

展示風景より、手前は《Couple》(2001)
展示風景より、手前は《ARch of Hysteria》(1993)
展示風景より、《Spider》(1997)

フランシス・アリス、中国初の美術館個展を長谷川祐子がキュレーション。「Francis Alÿs: La dépense」(ロックバンド・アートミュージアム)

「Francis Alÿs: La dépense」会場風景

 ベルギーで生まれ、現在はメキシコを拠点に国際的に活動するアーティスト、フランシス・アリス。その中国初の美術館個展「Francis Alÿs: La dépense」が行われているのが、外灘美術館(ロックバンド・アートミュージアム)だ。ロックフェラーグループによって中国初の現代美術館として2010年に開館以来、蔡國強、ウーゴ・ロンディノーネ、フェリックス=ゴンザレス・トレス、フィリップ・パレーノといった国際的なアーティストたちの個展を開催し、現代美術の発信拠点としてアートシーンを牽引してきた。

展示風景より、《L'imprévpoyance de la nostalgie》(1999)

 フランシス・アリスはこれまで、作家本人だけで行われるものから、数百人が参加するものまで様々な規模のプロジェクトを行ってきた。そうしたプロジェクトは、記録映像や写真、物語性をもった魅力的な絵画、ドローイング、あるいはポストカードまで、多様なかたちで展開される。長谷川祐子がキュレーションする本展では、16秒のアニメーション作品《Exodus》とそのための原画、あるいはメキシコのトルネードに突入する様子を延々とつないだ映像作品《Tprnado》など、初公開を含む1300点を展示する。

会期:2018年11月9日〜2019年2月24日
会場:外灘美術館(ロックバンド・アートミュージアム)
住所:20 Huqiu Road, Huangpu District, Shanghai

会場風景より《Exodus》(2014-18)の原画
外灘美術館(ロックバンド・アートミュージアム)

「風景」となった「絵画」。カタリーナ・グロッセ「Mumbling Mud」(K11)

カタリーナ・グロッセ「Mumbling Mud」の展示風景

 上海中心部にあるK11は、アートを大きなテーマに掲げるショッピング・モール。ここの地下3階にある広大なスペースで行われているのが、カタリーナ・グロッセ「Mumbling Mud」だ。

 ベルリンを拠点にするグロッセは、建築やインテリア、あるいは風景そのものにスプレー・ガンを吹き付ける手法で独自の「絵画」を制作。パレ・ド・トーキョー(パリ)やガレージ・ミュージアム・オブ・コンテンポラリーアート(モスクワ)などで個展を開催するなど、世界的に注目を集め続けてきた。

 本展「Mumbling Mud」では、ホワイトキューブに大量の土や工業製品を持ち込み、それらにペンティング。風景化した絵画の中に入り込むような体験ができる。

会期:2018年11月10日〜2019年2月24日
会場:K11上海
住所:300, Huai Hai Zhong Lu, HuaiHai Lu DongDuan, Xuhui, Shanghai

カタリーナ・グロッセ「Mumbling Mud」の展示風景
カタリーナ・グロッセ「Mumbling Mud」の展示風景

上海でもっともクールな展覧会。マウリツィオ・カテラン「The Artist is Present」(ユズ・ミュージアム)

会場風景より、システィーナ礼拝堂を模したマウリツィオ・カテランによるインスタレーション

 マリーナ・アブラモヴィッチを描いた巨大なアートウォールをミラノ、ニューヨーク、ロンドン、香港の世界4都市に出現させたことで開催前から話題を集めていた展覧会「The Artist Is Present」展が余徳耀美術館(ユズ・ミュージアム)で開催されている。

 本展はアーティストとして、これまで様々な話題作を生み出してきたマウリツィオ・カテランがキュレーションしたもので、それをアレッサンドロ・ミケーレがクリエイティブ・ディレクターを務めるグッチがサポート。会場には徐震(シュー・ジェン)やローレンス・ウィナー、フィリップ・パレーノ、ミカ・ロッテンバーグなど約40組のアーティストによる作品が、カテランによって「マッシュアップ」され、多種多様な空間が出現している。

会場風景より、徐震(シュー・ジェン)《ETERNITY》(2013)

 メインビジュアルとタイトルは、アブラモヴィッチが2010年にニューヨーク近代美術館で行った個展「The Artist Is Present」をそのまま引用したもの。このことからもわかるように、会場全体には「フェイク」を感じさせる作品が多く並ぶんでいる。カテランが問いかける「オリジナリティとは何か」という問いについて考えながら(そして楽しみながら)鑑賞できる展覧会だ。

会期:2018年10月11日〜12月6日
会場:余徳耀美術館(ユズ・ミュージアム)
住所:35, Fenggu Road, Xuhui District, Shanghai

会場風景より欧州連合理事会のトイレを再現したSuperflexの《Power Toilets/Council of the European》(2018)
会場風景より、地面にはローレンス・ウィナーの《OVER  AND OVER OVER AND OVER AND OVER AND OVER. AND OVER AND OVER.》(1971)、天井にはフィリップ・パレーノの《Speech Bubbles(gold)》(2009)が展示されている。左はドナルド・ジャッドを模したと思われるホセ・ダビラの《Untitled》(2015)