MICHELLE CEJA × ELLIOTT JUN WRIGHT「11 ‒ ELEVEN」

　Tokyo International Galleryで、ミシェル・セハとエリオット・ジュン・ライトによる2人展「11 - ELEVEN」が開催されている。

　ミシェル・セハは1988年カリフォルニア州ロサンジェルス⽣まれ、メキシコ系アメリカ⼈の芸術家。3Dレンダリングソフトウェアを⽤い、凍結された時空間のなかに脈打つ⽣体識別機能を持った形象とでもいうような、抽象的なドローイングやスカルプチャーを制作している。

　セハの創造はつねに物理的形象と仮想空間的形象を⾏き来し、これら2つの空間を同⼀のものとして扱っている。そして創作を重ねるうち、2つの境界はさらに曖昧なものへと変化を続けている。

　いっぽうエリオット・ジュン・ライトは、1984年バージニア州ハイランド・スプリングス⽣まれ。韓国系アメリカ⼈の芸術家であり、ミクストメディア・アッサンブラージュやスカルプチャー作品を制作している。

　ライトは乾燥⾷品、美容⽤マスク、年代ものの『アーキテクチュラル・ダイジェスト』誌などの⽇⽤品や、組み⽴てユニット⽤押出アルミフレームといった⼯業品など多様な素材を混ぜ合わせ、ハイブリッド・オブジェクトを⽣み出す。そこでは「アジアン・アイデンティティ」を表象する多種多様な記号が点在し、また⽡解している。これらの記号（多くは⽂化産業によって製造されたもの）は、アイデンティティを形成する素材として機能するものであるが、それはまたいかに私たちの上に投射されているのか、という問いにかたちを与えている。

　セハとライトの2人は、パートナーとなって以来11年、個々⼈での創作活動を続ける傍ら、共同制作も⾏ってきた。本展「11」では、夫妻の⼀連の近作を紹介する。

　本展において両者の作品をともに提⽰することにより、作品制作においてまったく違うアプローチを取っているかのように⾒える2人のアーティストが、デジタルメディアとカルチュラルメディア、とある特殊な関係を内包しているということが顕になる。

　なお今回の展⽰はセハとライトにとって、コマーシャルギャラリーでの展覧会は初となる。