EXHIBITIONS
徳永葵 個展「記憶への代入」
myheirloomで、アーティスト・徳永葵の初個展「記憶への代入」が開催されている。
徳永は1999年⽣まれ。2022年に京都市立芸術大学美術学部美術科油画専攻を卒業し、現在は同大学美術研究科修士課程美術専攻油画に在学中だ。本展で徳永は、「マンガ表現の絵画化」をテーマとして、コミック紙からそのまま抜け出したような単純化されたキャラクターとリアルな日常とが交錯する不思議な世界観を構成している。
かねてから徳永は「マンガ」の制作を表現活動の中心に据えており、油絵とマンガの制作とが完全に別々なものとして存在していたという。しかし、卒業制作を意識し始めた昨年初頭、その2つの要素を融合させた表現を生み出すことを構想し「マンガ表現の絵画化」をテーマに制作することを決めた。
はじめ、⾃⾝の幼少期の記憶をきっかけとした空想の世界を描いたマンガ《⽩昼夢》を制作。セリフや効果⾳をまったく⼊れないことで、ストーリーの展開ではなく「絵」の部分に重点を置いた。その際、つけペンで描かれた「線」そのものがマンガの魅⼒となっているのではと気づき、マンガの線に焦点を当てた新作《In my own world》に取り組んだ。
2021年には、本展でも展示されるシリーズで、「紙キャラクターの絵画空間への代入」を初めて用いた「集積のなか」という作品をTwitter上で発表し話題に。そして京都市立芸術大学の卒業制作では、同シリーズとして制作した大作《見ようとしなければ見えない》で市長賞を受賞した。
徳永の作品内に登場する強く二次元性を強調されたキャラクターは、作家自身の幼少期の記憶をベースとした現実世界(記憶の中の物語)に介入する異物のように描かれている。「記憶」という、現実そのものではあるものの、そこには意図しない脚色や欠落により生じたある種の不安定さを残した世界が広がり、徳永はその不確かで朧げな記憶の世界のなかに、創作物の象徴である「キャラクター」を自身の代わりに代入することで、記憶のなかにある物語をゼロから創作しようと試みている。
マンガという現代日本を象徴する表現を巧みに用いて、同じ平面表現である絵画へと接続させた、徳永の独創的な作品に注目してほしい。
徳永は1999年⽣まれ。2022年に京都市立芸術大学美術学部美術科油画専攻を卒業し、現在は同大学美術研究科修士課程美術専攻油画に在学中だ。本展で徳永は、「マンガ表現の絵画化」をテーマとして、コミック紙からそのまま抜け出したような単純化されたキャラクターとリアルな日常とが交錯する不思議な世界観を構成している。
かねてから徳永は「マンガ」の制作を表現活動の中心に据えており、油絵とマンガの制作とが完全に別々なものとして存在していたという。しかし、卒業制作を意識し始めた昨年初頭、その2つの要素を融合させた表現を生み出すことを構想し「マンガ表現の絵画化」をテーマに制作することを決めた。
はじめ、⾃⾝の幼少期の記憶をきっかけとした空想の世界を描いたマンガ《⽩昼夢》を制作。セリフや効果⾳をまったく⼊れないことで、ストーリーの展開ではなく「絵」の部分に重点を置いた。その際、つけペンで描かれた「線」そのものがマンガの魅⼒となっているのではと気づき、マンガの線に焦点を当てた新作《In my own world》に取り組んだ。
2021年には、本展でも展示されるシリーズで、「紙キャラクターの絵画空間への代入」を初めて用いた「集積のなか」という作品をTwitter上で発表し話題に。そして京都市立芸術大学の卒業制作では、同シリーズとして制作した大作《見ようとしなければ見えない》で市長賞を受賞した。
徳永の作品内に登場する強く二次元性を強調されたキャラクターは、作家自身の幼少期の記憶をベースとした現実世界(記憶の中の物語)に介入する異物のように描かれている。「記憶」という、現実そのものではあるものの、そこには意図しない脚色や欠落により生じたある種の不安定さを残した世界が広がり、徳永はその不確かで朧げな記憶の世界のなかに、創作物の象徴である「キャラクター」を自身の代わりに代入することで、記憶のなかにある物語をゼロから創作しようと試みている。
マンガという現代日本を象徴する表現を巧みに用いて、同じ平面表現である絵画へと接続させた、徳永の独創的な作品に注目してほしい。

