EXHIBITIONS

高松太一郎「ひと花を視る 花ひとを観る〜服(まつろ)わぬ者〜」

2022.04.15 - 05.14
 void+では、「服(まつろ)ふこと」をテーマに制作している高松太一郎の個展「ひと花を視る 花ひとを観る〜服(まつろ)わぬ者〜」を開催する。

 高松は福岡県生まれ。大学在学中より衣服を主体とした作品制作を始め、留学先の英国にて本格的にテーラーの技術を学んだ。その後、パリ、ミラノ、ロンドンといったヨーロッパでメゾンの核であるクチュールにテーラーとして携わり、クラフトマンとしての修練を重ねてきた。

 文化の異なる西欧と日本では服へのアプローチが異なり、その環境下で高松は自身のアイデンティティを見直すことになった。西欧では人体に素材を沿わせるよう服を仕立てていくいっぽう、日本では自然から得る素材自身が持つ目的を見つけてかたちにしていく。それは、プラクシスとポイエーシスの違いとも言い換えられるといい、そのような環境と経験から得た葛藤が、人間と自然との関係の再考と探求につながったとしている。

「服(まつろ)ふこと」の再考をテーマにした本展では、能楽の「翁」がモチーフの作品を発表。絹・羊毛・藍・水・土といった自然の素材に対し、自らのプランを押しつけるのではなく、それらの内の自然が持つ本質的な姿を引き出し、未だ服にならざるものたちに「翁」としての自らを重ね、展示の場という舞台を生み出すことを試みる。

 なお今回展示される作品は、松井機業によって織られた特別な絹織物、染色作家・安達大悟(東北芸術工科大学准教授)によって染められた板締め紋様、藍師・加藤直也との協業で、16ヶ月間にわたって染められた絹から制作され、そしてガラス作家・名田谷隆平(富山ガラス工房)との彫刻作品、キシエリとの共作作品も並ぶ。