EXHIBITIONS

生誕100年 朝倉摂

朝倉摂 更紗の部屋 1942 練馬区立美術館蔵

朝倉摂 歓び 1943 神奈川県立近代美術館蔵

朝倉摂 裸婦C 1950 神奈川県立近代美術館蔵

朝倉摂 「にごり江」舞台下図 (演出:蜷川幸雄) 1984 アトリエ・アサクラ蔵

『スイッチョねこ』原画(作:大佛次郎) 1971 大佛次郎記念館蔵

 神奈川県立近代美術館 葉山が「生誕100年 朝倉摂」展を開催する。画家・舞台美術家として活躍した朝倉摂(あさくら・せつ、1922〜2014)の全貌に迫る初めての本格的な回顧展となる。

 朝倉は、彫刻家・朝倉文夫の長女として東京都・谷中に生まれた。3歳下の妹は彫刻家の朝倉響子。17歳から伊東深水に日本画を学び、1941年、第4回新文展に《小憩》が初入選。同年より福田豊四郎や吉岡堅二らによる在野の新美術人協会に参加し、その流れから戦後は創造美術、のちに新制作協会に出品した。53年、《働く人》で第3回上村松園賞を受賞。モダンな人物像を洗練された色彩感覚で描き出し、若くしてその才能を認められた。

 朝倉はその後、新しい絵画表現を模索するなかで、パブロ・ピカソやベン・シャーンなど海外作家を研究。炭鉱や漁村の労働者に取材を重ね、60年安保闘争などの社会問題に取り組むなかで、演劇やデザインなど多様なジャンルの芸術家との共同制作に可能性を見出し、60年代半ば以降は舞台美術へと活動の比重を移した。舞台美術を手がけ始めたのはまた40年代末からで、70年にはロックフェラー財団の招聘によりニューヨークで舞台美術を学んでいる。さらに朝倉は小説や絵本の挿絵にも取り組み、72年には大佛次郎作『スイッチョねこ』で講談社出版文化賞絵本賞を受賞した。

 本展では、朝倉のこれまでほとんど知られていなかった絵画を一堂に展示。絵画作品40余点と素描に加え、舞台美術の模型やデザイン画、資料、絵本原画を含む計約200点によって、その多彩な魅力を紹介する。