EXHIBITIONS

Songs of the Earth -大地の歌

2022.04.09 - 05.07

岡崎和郎 心棒 2018

ジャンフランコ・ザッペティーニ CON CENTRO n.52 2018

ペ・ラン & マリアンティ・パパレクサンドリ untitled|no 12 2019

 STANDING PINEは、グループ展「Songs of the Earth -大地の歌」を開催。自然と親和性のある3名の作家、岡崎和郎、ジャンフランコ・ザッペティーニ、ペ・ランによる代表作や新作を展示する。

 岡崎和郎は1930年生まれ。身の回りにある事物やイメージ、自然物を引用し、それらの内実を反転させる手法により様々なオブジェを手がけてきた。従来の思想では見落とされてきたものを補うという「御物補遺」の思想を確立し、1960年代に美術批評家・瀧口修造に認められ、現在も戦後の日本美術史において重要な作家として国内外で再評価が高まっている。

 本展では、庇から着想し、「補遺」の概念を的確に表す岡崎の代表的なシリーズ「HISASHI」から、1998年に制作された作品に加え、新作の《心棒》を展示する。

 ジャンフランコ・ザッペティーニは、1939年イタリアのジェノヴァで生まれ、現在はキアーヴァリにて活動。イタリア戦後美術を代表するムーブメント「Pittura Analitica(Analytical Painting)」のアーティストのひとりであり、その理論は、完成された作品よりもその過程や活動に重きを置くというものだ。近年のザッペティーニの関心は、制作の過程から思考の過程へと変化していき、自然界に存在する特定の色や物質の象徴性や精神性に焦点を当てた作品を発表している。

 本展では、砂金とアクリル絵具を何層にも重ね描いた《CON CENTRO n.52》を展示。水流を表す砂紋のように描かれた円の重なりからは、作家が若い頃から興味を持ち続け、1970年代に巡ったアジアへの旅で再び出会った禅の思想の影響を思わせる。

 ペ・ランは1974年スイス生まれのキネティックアーティスト。物理的な力の制御と稼働を繰り返し、動力学、視覚、そして音による相互作用を繊細かつ集中的に探求している。その無機質な機械パーツの組み合わせによってつくられているはずの作品は、作家ですら予期しない動きや音を出し、柔らかで有機的な表情を見せる。

 本展で展示される《untitled》は、サウンドアーティストのマリアンティ・パパレクサンドリとのコラボレーション作品。中心で回転するモーターの動きに合わせて聴こえてくる音は、機械的な電子音ではなく、スピーカーの振動板の中心に直接伝わる摩擦の振動により発生する。不規則に鳴り響く静的で深みのある音は、まるで地中につくり出された空洞で反響を繰り返す水琴窟のようにも聴こえる。