EXHIBITIONS

柄澤齊「夜間飛行」展

© Hitoshi Karasawa

 Galerie LIBRAIRIE6 / シス書店は、柄澤齊による「夜間飛行」展を開催している。玻璃(はり)版による連作版画の展示。

 柄澤は1950年栃木県日光市生まれ。75年に木口木版作家として初個展を開催。版画制作の傍ら、文芸書の装丁、装画に携わり、オブジェや絵画の制作に取り組む。93年には自宅工房に18世紀の印刷機アルビオンプレスを備え、「梓丁室(していしつ)」のプレス名で版画集、挿絵本、定期発行冊子などの自家出版を手がける。

 2012年、東日本大震災と原発事故を機に東京から八ヶ岳南麓に移住。山に囲まれた標高1000メートルの地で星々を眺めながら制作と執筆に勤しんでいる。これまで、カタログレゾネ『柄澤齊木口木版画集』(阿部出版)、展覧会図録『柄澤齊展 版画、オブジェ、水彩、本1971-2006』(栃木県立美術館、神奈川県立近代美術館、日本経済新聞社)が刊行。著書にエッセー集『銀河の棺』(小沢書店)、長編小説『ロンド』(東京創元社)、『黒富士』(新潮社)など、主な装丁に『ネルヴァル全集』『堀田善衞全集』、装画に『吉田健一集成』『決定版三島由紀夫全集』などがある。

 柄澤にとって東京では3年ぶり、版画集をメインとした個展は約20年ぶりの展覧会。作家は「夜間飛行」について次のように語っている。

「『夜間飛行』展のメインとなる作品《夜間飛行 Nox Fuga》は、版下原画から玻璃版を起こし、手漉き鳥の子紙に2色刷りした版画にドローイングを加えた16点の連作からなります。10部を版画集、20部を個別の単独シートとして制作。版画集、単独シート、それぞれに柄澤が執筆した約8000字の小説『夜間飛行』がテキストとして付きます。《夜間飛行 Nox Fuga》では、いつとも知れない時空の、どことも知れない夜を旅するさまざまな飛行体がフーガを奏でるように入れ替わり、夕闇や星空を背景にした16のシーンを飛び交います。

不可知の夜を行きかう飛行体はどこから来てどこへ行くのか。それは地上の重力と、社会的なノイズからの遁走を夢見るものたちを時空の彼方へと運んでくれる『船』かもしれません。小説『夜間飛行』はその答えの一つを示しています(柄澤齊)」。

 なお柄澤は会期中、毎週土曜・日曜日に在廊予定。現在、オンライン展覧会も公開している。