EXHIBITIONS

マーク・ライデン展「Yakalina 9」

2022.04.01 - 05.14

マーク・ライデン Yakalina(Blood) 2022
Photographer: Walla Walla Foundry
Courtesy of the artist, Perrotin, and Kasmin Gallery

マーク・ライデン Yakalina(Bombay) 2022
Photographer: Walla Walla Foundry
Courtesy of the artist, Perrotin, and Kasmin Gallery

マーク・ライデン Yakalina(Brilliant) 2022
Photographer: Walla Walla Foundry
Courtesy of the artist, Perrotin, and Kasmin Gallery

マーク・ライデン Yakalina(Blush) 2022
Photographer: Walla Walla Foundry
Courtesy of the artist, Perrotin, and Kasmin Gallery

マーク・ライデン Yakalina Potrait 2022
Courtesy of the artist, Perrotin, and Kasmin Gallery

マーク・ライデン Yakalina - Visible and Invisible 2022
Courtesy of the artist, Perrotin, and Kasmin Gallery

 米国人アーティスト、マーク・ライデンの新作個展「Yakalina 9」がペロタン東京で開催される。

 ライデンは1963年生まれ。優美な絵的表現から豪華に装飾された額に至るまで、その想像力に富んだ芸術的行為は、意味や含蓄を幾層にも重ねながら体現されている。同時に、ライデンは目に見えない、宇宙の秘められた秩序を深く考察し、霊的な真髄に満ちた存在を解釈している。ライデンの作品は、その隠喩的な景色に息づく要素の象徴的な意味を探求しながら、神秘的でときに不可思議な世界への畏怖の念を呼び起こす。

 本展では、謎に包まれた存在である「Yakalina(ヤカリーナ)」のブロンズ彫刻と、ドローイングの新シリーズが展示される。

 神秘的な動物の彫刻「ヤカリーナ」の体は、細長い円すい形をしており、顔を除く全身は毛皮で覆われ、愛らしくも不気味な姿をしている。ライデンはたびたび扱う題材「Anima Animals (アニマ・アニマルズ)」と、青銅時代から永続し、様々な古典的宗教美術に繰り返し登場する図像を結びつけ、自身の芸術的表現を通して再考している。

 いっぽう彫刻と並んで展示されるヤカリーナのドローイングは、錬金術の古写本を思わせる。作品に見られるシンボルや錬金術記号、構造、数字などを駆使した知性的な行為は、手ほどきを受けていない者には近寄りがたい、秘めた秩序を示している。

 ライデンによる一連の作品の本質は不明瞭だが、必ずしも解読する必要のない芸術的な試みを熟考する瞬間にこそ、物理的な形状から浮かび上がる無形の現実に遭遇する驚嘆の感覚が呼び覚まされるだろう。「目を開いていれば、どこにでも神性な顔を見いだせるのです」と、ライデンは言う。

 なお今年5月には本展の着想源となった展覧会「Animal Secrets」が、ペロタンパリにて開催予定だ。