INSCAPE, In the depths of Joseph Elmer Yoakum's landscapes

　フランスのファッションブランド「LEMAIRE（ルメール）」が展覧会「INSCAPE, In the depths of Joseph Elmer Yoakum's landscapes」を開催する。

　クリストフ・ルメールとサラ=リン・トランが率いる「LEMAIRE」は、ジョゼフ・エルマー・ヨアクム（1890〜1972）の風景画からインスピレーションを得た2022年春夏コレクションを発表。本展では、このワードローブを記念し、またジョゼフ・ヨアクムのレガシーを継承すべく、東京・南青山の特別会場にて14点の作品を展示する。

　ジョゼフ・エルマー・ヨアクムはネイティブアメリカンのフォルクアーティストであり、その特異な風景観は、世界各地へ渡った旅と第一次世界大戦の体験から生まれた。アメリカや異国の地を訪れる遊牧民としての人生を記憶をたどりながら2000枚以上の風景画に描き、ロマンチックな世界を構築した。またヨアクムは、勤勉な測量士のように地形データを収集し、ごく一般的な紙の上にボールペン、色鉛筆、パステル、水彩絵具などを使って作品を制作した。

　考古学的なドローイングは、訪れた風景の断片をとらえながら、作家自身の内面の混沌の絶え間ない動きを明らかにしている。山は脳のように、柔らかい川は血の流れのように、空は穏やかな海のようにも見え、遠近法が極端に平坦化され、色鮮やかな模様がしっかりと描かれている。ヨアクムの作品は複数のパブリックコレクションに収蔵されており、最近ではニューヨーク近代美術館（MoMA）での作家初となる大回顧展「Joseph Yoakum: What I Saw.」が今年3月に閉幕したばかりだ。

　LEMAIREは今回の2022年春夏コレクションで、ヨアクムが旅先で描いた静寂な風景画から、シルクとコットンの軽やかなシリーズを制作。風景画のタイトルとなった山々をモチーフにしたシリーズは、遥か彼方の景色が持つ詩的な力を表現している。展覧会は3月25日から4月3日まで。