EXHIBITIONS

明日への祈り展 ラリックと戦禍の時代

2022.03.19 - 11.27

ルネ・ラリック ブローチ「二人の女性の半身像」 1898-1900頃

ルネ・ラリック 脚付杯「パリ市」 1907-1912

ルネ・ラリック ブローチ「雄鶏」 1912

ルネ・ラリック ブローチ「兵隊さんの日」 1915

ルネ・ラリック 鉢「天使」 1930

ルネ・ラリック ランプ「キリスト」 1930

 箱根ラリック美術館では、「明日への祈り展 ラリックと戦禍の時代」を開催。祈りを込め、困難な時代にルネ・ラリック(1860〜1945)が手がけた作品の数々を展覧する。

 ラリックが生きた20世紀は、世界が大きく揺れ動いた時代。1914年に人類史上初の世界大戦が、1939年に第二次世界大戦が勃発し、多くの命が奪われた。戦争はラリックの創作活動にも大きな影響を及ぼしている。

 第一次世界大戦時、閉鎖に追い込まれた工場では、実験用ガラス器具や衛生用ガラス製品の制作を要求され、作品をつくることは叶わなかった。そんななか、ラリックは国会などの要望により、兵士や戦争孤児、そして当時流行していた感染症・結核を患った人々の生活向上のため、チャリティーイベント用のブローチやメダルを制作し、その売り上げが困窮者へ寄付された。

 これらの作品は、決して煌びやかではないものの、芸術で人々の心を豊かにしたいというラリックの願いが込められている。そして第一次世界大戦終結後、ラリックは悲しみを鎮めるかのように、ガラスを使用し、教会など祈りの場の内装を手がけた。

 どんな時も人々の心にそっと寄り添ったラリックの作品。本展では、フランスの苦難の歴史と戦争で傷ついた人々へ、ラリックによりつくられたチャリティーのための作品などを「祈り」をテーマに紹介する。