EXHIBITIONS

國久真有「BUTTERFLY EFFECT」

艸居アネックス
2022.03.19 - 04.23

國久真有 AUTOLYSIS 11-25 2021 キャンバスにアクリル H53×W53cm

 京都にある⾋居アネックスでは、國久真有(くにひさ・まゆ) の個展「BUTTERFLY EFFECT」を開催する。

 國久は1983年⼤阪府⽣まれ。2003年にロンドン芸術⼤学セントラル・セント・マーチンズ校ファウンデーション・ディプロマ・イン・アート・アンド・デザインコースを修了し、12年に神⼾芸術⼯科⼤学芸術⼯学研究科総合アート専攻修⼠課程を修了した。19年には「第22回 岡本太郎現代芸術賞展」特別賞を受賞するなど、その取り組みや活動が広く知られるようになった。現在は関⻄圏を中心に作品を発表している。

 2020年12⽉に⾋居アネックスで開催されたグループ展「⼥性と線」において、体と線をテーマに⼤きな存在感を⽰した國久。本展では、國久が⻑年取り組んでいる⾝体と絵画が同期する独創的な作品「WIT-WIT」シリーズから近作を中⼼に展⽰する。

 ⾝体を軸とし腕のストロークと遠⼼⼒を⽤いて円弧を重ねて描いていく「WIT-WIT」シリ ーズの名称は、古代ローマ時代の建築家ウィトルウィウスの『建築論』の記述をもとにレオナルド・ダ・ヴィンチが、1485〜1490年頃に描いたドローイング『ウィトルウィウス的⼈体図』に由来する。四⾓い平⾯のなかに作家⾃⾝の⾝⻑と同じ⻑さの円が積層し、何次元もの空間の奥⾏きが⽣まれている。

 國久は「弧の線」を重ねることで「光」を表現しているという。フリーハンドで平⾯の上に描き出される線は円弧となるが、作家⾃⾝の視点からすればそれは⾃らの体に対し真っ直ぐに存在している線でもある。本来⽬に⾒えないはずの線が、そのときの⼼情や、季節、環境、気温といった外的要因に応じて選択された⾊彩でキャンバスの上に描かれている。

 展覧会タイトル「BUTTERFLY EFFECT (バタフライ効果)」は、カオス理論における予測困難性を表す表現のひとつ。わずかな変化を与えたことで、その後の状態が⼤きく異なってしまう現象を指し、ほんの些細なことも時に歴史を動かすことがあるかも知れない、という意味にもつながる。

 今春にはSOKYO ATSUMI(東京)での個展のほか、ソウルや兵庫県⻄脇市での個展を予定している國久。それらに先⽴つ本展は、のちに続く展覧会、作家の制作活動そのものにどのような影響をもたらすのか、画⾯と⾝体との関係性への模索から⽣みだされた独創的な絵画に注目してほしい。