EXHIBITIONS

戦国最強の家老

細川家を支えた重臣松井家とその至宝

2022.03.12 - 05.08

松井康之像 以心崇伝賛 1612(慶長17) 松井文庫蔵

松井興長像 霊叟玄承賛 1663(寛文3) 松井文庫蔵

唐物茶壺 銘 深山 14~15世紀(中国・元~明時代) 松井文庫蔵 八代市指定有形文化財

銀箔押尖笠形兜 16世紀(桃山時代) 松井文庫蔵

緋黒羅紗段替陣羽織 17世紀(江戸時代) 松井文庫蔵

 永青文庫が春季展「戦国最強の家老 ―細川家を支えた重臣松井家とその至宝―」を開催する。

 細川家は初代・藤孝(ふじたか)が信長に仕えて以来、江戸時代の終焉まで国持大名として存続した。織田・豊臣・徳川と政権が移行する過程で滅亡した大名家が多いなか、このように長きにわたって存続できた背景のひとつには、細川家筆頭家老・松井家の活躍があった。

 松井家初代・康之(やすゆき、1550~1612)は武略に優れ、数々の戦功を細川家にもたらした。とりわけ秀吉からその働きが評価され、直参大名取り立ての申し出を受けるも、細川家への忠義から固辞している。二代・興長(おきなが、1582~1661)は主君に対しても率直な意見を述べ、50年にわたって細川家を支え続けた。そうした細川家にとってもっとも重要な家老であった松井家の文物は、いまも熊本県八代(やつしろ)市の松井文庫に継承されている。

 松井文庫には、康之と興長が深い関係を築いた千利休や古田織部、剣豪・宮本武蔵ゆかりの史料や作品も現存する。その収蔵品は、利休が秀吉の勘気にふれて京を追われたとき、見送りに来てくれた細川家二代・忠興(ただおき)と織部への感謝の気持ちを康之に言づけた手紙や、興長の仲介により熊本藩細川家に客分として招かれた武蔵の水墨画など、貴重な品を多く含む。

 本展は、永青文庫と松井文庫の伝来品により、主君と家老の関係を東京で初めて紹介するもの。利休、武蔵らの名品を一堂に展覧するとともに、康之と興長の活躍ぶりを史料からたどり、松井家が戦国最強の家老とされるわけを探る(会期中、一部展示替えあり)。