EXHIBITIONS
完璧に抗う方法 – the case against perfection –
平野泰子/衣真一郎「風景(私は知っている/整理できない)」
「完璧に抗う⽅法 – the case against perfection -」は、図師雅⼈と藤林悠による企画展覧会。企画者を含む9名と1組のアーティストが、2⼈展を隔⽉で開催する。第3回は、平野泰子と衣真一郎による「風景(私は知っている/整理できない)」展。
本企画は2⼈展形式の美術展覧会の開催にあたり、事前にリサーチとして出展作家の制作を始めた動機、過去作のすべてについてなど、作品にまつわるインタビューを⾏い、その内容から抽出しコンセプトを作成。アーティストの営みについて、アーティストたちの⾔葉を通してその経験を集積し、発された表現そのものがまた⾃⾝のもとへ還るまでの過程を垣間⾒ようとする。
今回発表する平野泰子は1985年富山県生まれ、京都精華大学芸術学部造形学科洋画専攻卒業。その作品は、三原色によってつくられるグレー系の色面を矩形全体に施すことから始まり、その過程の後に、最低限の要素(何かを示すように加筆したり、そこにあったものを呼び起こすようにスクラッチをしたり)を加えているように見える。
夕闇時、色の個性や距離感がなくなっていくような空間のなかでなお位置を示す、そのような絵画面を平野は描く。そこには、自身が日々見て感じ取ってきた風景への視点と感覚が漂っている。森に溶けていった自身の感覚、月がずっと後ろをついてくるあの距離感、山並みとコップの縁を同じように感じる視点、それらが平野の絵画のなかにある。
いっぽう衣真一郎は1987年群馬県生まれ。2016年東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。平野と同じく風景を題材とし、生まれ育った群馬の風景を描く。近年では、アイスホッケーをモチーフにレジデンスで訪れたカナダの地も描いているが、それも幼少期に衣自身がやっていた経験によるところが大きいという。
衣が描く風景は、必ずしも一般的な風景画と同じというわけではない。写実的に風景を描くのではなく、自身の得てきた感覚・体験・記憶を交えて具体的に描いている。その具体性は、構図やタッチ、絵画を構成するすべてに現れている。キャンバスや木板に乗せられる絵具の一つひとつが慎重に丹念に乗せられ、そのストロークやタッチも時間や重さが固有にある。衣の作品は、ひとつの風景画としてあろうとしながらも、そこに制作に使用される物質や個に由来する感覚、記憶を屈服させないこと、それが可能であることをありありと、そして淡々と私たちに掲示する。
本展は、風景を描くことに共通している2人の活動や人間性それ自体にテーマを寄せて構成される。会期中には、参加作家と企画者のトークをウェブ上で公開する。
これまで「完璧に抗う方法 – the case against perfection –」は藤林悠(企画者)と小野冬黄、戸田祥子と三枝愛が2人展を開催。第4弾以降は、佐藤史治と原口寛子、関真奈美、図師雅人(企画者)、田中永峰良佑による展覧会を予定している。
本企画は2⼈展形式の美術展覧会の開催にあたり、事前にリサーチとして出展作家の制作を始めた動機、過去作のすべてについてなど、作品にまつわるインタビューを⾏い、その内容から抽出しコンセプトを作成。アーティストの営みについて、アーティストたちの⾔葉を通してその経験を集積し、発された表現そのものがまた⾃⾝のもとへ還るまでの過程を垣間⾒ようとする。
今回発表する平野泰子は1985年富山県生まれ、京都精華大学芸術学部造形学科洋画専攻卒業。その作品は、三原色によってつくられるグレー系の色面を矩形全体に施すことから始まり、その過程の後に、最低限の要素(何かを示すように加筆したり、そこにあったものを呼び起こすようにスクラッチをしたり)を加えているように見える。
夕闇時、色の個性や距離感がなくなっていくような空間のなかでなお位置を示す、そのような絵画面を平野は描く。そこには、自身が日々見て感じ取ってきた風景への視点と感覚が漂っている。森に溶けていった自身の感覚、月がずっと後ろをついてくるあの距離感、山並みとコップの縁を同じように感じる視点、それらが平野の絵画のなかにある。
いっぽう衣真一郎は1987年群馬県生まれ。2016年東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。平野と同じく風景を題材とし、生まれ育った群馬の風景を描く。近年では、アイスホッケーをモチーフにレジデンスで訪れたカナダの地も描いているが、それも幼少期に衣自身がやっていた経験によるところが大きいという。
衣が描く風景は、必ずしも一般的な風景画と同じというわけではない。写実的に風景を描くのではなく、自身の得てきた感覚・体験・記憶を交えて具体的に描いている。その具体性は、構図やタッチ、絵画を構成するすべてに現れている。キャンバスや木板に乗せられる絵具の一つひとつが慎重に丹念に乗せられ、そのストロークやタッチも時間や重さが固有にある。衣の作品は、ひとつの風景画としてあろうとしながらも、そこに制作に使用される物質や個に由来する感覚、記憶を屈服させないこと、それが可能であることをありありと、そして淡々と私たちに掲示する。
本展は、風景を描くことに共通している2人の活動や人間性それ自体にテーマを寄せて構成される。会期中には、参加作家と企画者のトークをウェブ上で公開する。
これまで「完璧に抗う方法 – the case against perfection –」は藤林悠(企画者)と小野冬黄、戸田祥子と三枝愛が2人展を開催。第4弾以降は、佐藤史治と原口寛子、関真奈美、図師雅人(企画者)、田中永峰良佑による展覧会を予定している。