EXHIBITIONS

完璧に抗う方法 – the case against perfection –

藤林悠/小野冬黄「粧いを変える/何かに決めないでおく」

2021.11.20 - 12.05

展覧会全体のイメージ画像 デザイン=倉有希

小野冬黄 6本 2020

藤林悠 705,2-13 2018 展示状況撮影=松尾宇人

 美術家の図師雅人と藤林悠による企画展「完璧に抗う方法 – the case against perfection -」があをば荘で開催。2021年11月より、企画者を含む9名と1組のアーティストが2人展を隔月で開催していく。

 2017年、図師雅⼈と藤林悠による展⽰「Enhancement」(Space Wunderkammer、東京)に端を発する本企画展。2人は、「Enhancement(先端科学医療技術⽤語で「増強」「増進的介⼊」)」展において、遺伝⼦操作・⼈体改造といった本来健康状態の⾝体や精神に影響を「加える」技術に着目し、「⾝体」を共有のテーマとして互いの⼼⾝状態とメディウム、そして制作や制作環境との関わりを考え直した。

 その後も図師と藤林の議論は継続し、2⼈の関⼼は「Singularity」や「Enhancement」といった⼒ある⾔葉には決して括ることができない、アーティストの「営み」⾃体へと⽬を向けられ、この「営み」の⼒学や、それを⽣み出すアーティストたちが⽣きる環境を知るために「完璧に抗う方法」を企画するに至った。現代を⽣きる9名と1組の参加アーティストたちを迎え、第1回「粧いを変える/何かに決めないでおく」では、企画者の藤林と小野冬黄が展示を行う。

 藤林は秋⽥県出⾝。2008年東京藝術⼤学⼤学院美術研究科絵画専攻壁画研究領域修⼠課程修了、2006年東京造形⼤学美術学科絵画専攻卒業。iPhoneなどで撮影した写真、映像や絵画といったメディアを用い、作家本人の生活圏内でとらえた景色を題材にした作品を制作している。主な展覧会に「It’ll be a frosty Friday それは冷ややかな⾦曜⽇になります」(3F/3階、東京、2021)、「 from Intimate Path」(ART369プロジェクト・栃⽊県那須塩原市、2021)、「Equidistancia」(La rectoría、スペイン、2021)など。

 ⼩野は1985年愛知県⽣まれ。2010年多摩美術⼤学⼤学院美術研究科絵画専攻油画研究領域修了。特定のモチーフや素材を決めずに、平面や立体、空間のあいだを自由に行き来しながら形態をあらわす。主な個展に「LOOP HOLE」(LOOP HOLE、東京、2020)、「展開」 (See Saw gallery +hibit、愛知、2017)、「絵の背」(float、東京、2013)。

 本展は事前にリサーチとして、参加アーティストそれぞれに、幼少期から現在の活動(収録時)に至る長い時間をかけたインタビューをしている。インタビューより抽出された作家たちの言葉を各会期のコンセプトとすることで、作家それぞれの経験より発された表現そのものが、また自身のもとへ還るまでの過程、そのアーティストの営みを垣間見ようとする。

 第1回に続いて今後、戸田祥子、三枝愛、平野泰子、衣真一郎、佐藤史治と原口寛子、関真奈美、図師雅人(企画者)、田中永峰良佑が参加。なお本展のために実施されたアーティストたちへのインタビューは、展覧会後にまとめる記録集にて一部掲載される予定だ。