EXHIBITIONS

完璧に抗う方法 – the case against perfection –

戸田祥子/三枝愛「波を掴み、地と歩む手立て」

2022.01.15 - 01.30

戸田祥子 《あなたの昼と夜》《湖の発生、または練習》《指の地形》《小話 : わたし風景なのね ~》 によるインスタレーション風景 2019 撮影=阪中隆文

三枝愛 庭のほつれ / I’m waiting for the time, when this field is open again 2021

展覧会全体のイメージ画像 デザイン=倉有希

「完璧に抗う⽅法 – the case against perfection -」は、図師雅⼈と藤林悠による企画展覧会。企画者を含む9名と1組のアーティストが、2⼈展を隔⽉で開催する。出展作家は藤林悠、⼩野冬⻩(会期終了)、⼾⽥祥⼦、三枝愛、平野泰⼦、⾐真⼀郎、佐藤史治と原⼝寛⼦、関真奈美、図師雅⼈、⽥中永峰良佑。2021年の初回に続き、第2回「波を掴み、地と歩む手立て」には、戸田祥子と三枝愛の2人が参加する。

 戸田は1981年生まれ。2004年東京藝術大学油画専攻卒業。2006年同大学大学院美術研究科絵画専攻壁画研究領域修士課程修了。身体と風景の関係性をテーマとした映像や立体、ドローイングなどを発表し、近年では子供の手遊びやあやし方といった、自身が日常的に振る舞う習俗的行為への関心も見せている。またアーティストグループ「hanage」として、イベントや展示なども企画・実施している。

 三枝は1991年埼玉県生まれ。2018年に東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修士課程を修了し、現在は京都を拠点に活動。失いつつあるものや事象との関係を結び直すために、拓本や染織、サイアノタイプによるフォトグラム、作文など、そのつど必要な技術を選び取りながら、留保と転用としての美術を模索している。

 本展覧会は事前にリサーチとして、参加アーティストに幼少期から現在の活動(収録時)に至る長い時間をかけたインタビューを実施。インタビューより抽出された作家たちの言葉を各会期のコンセプトとすることで、作家それぞれの経験より発された表現そのものが、また自身のもとへ還るまでの過程、そのアーティストの営みを垣間見ようとする。

「遠く離れた地形やまったく異なる何かに自身のからだが例えられる」ということを、距離や空間を超える回路としてとらえ制作する戸田と、椎茸農家である生家とその土地をめぐる制作「庭のほつれ」を一貫して続けている三枝。2人のインタビューでわかったのは、それぞれの実践が自分自身や自分に関わるものに訪れる変化に対し、どう適応していくのかということについて共有していること、そして、ひとりの存在やひとつの土地への価値観が安易に固定化されたり、不意もしくは不当に変化を余儀なくされたりすることへの抵抗が見て取れたことだと言う。

 会期中には、参加作家と企画者のトークを収録し、ウェブ上で公開。本展のテーマや展⽰に⾄るまでの経緯、そして各々が展⽰にどう向き合ったのか話し合う。戸田祥子と三枝愛の2人展に続いて今後は、平野泰子、衣真一郎、佐藤史治と原口寛子、関真奈美、図師雅人(企画者)、田中永峰良佑の展覧会が開催される予定だ。