岡山現代彫刻の断片vol.5

　奈義町現代美術館は「岡山現代彫刻の断片」の第5回「具象×抽象彫刻 生成／新たなる試み」を開催する。参加アーティストは川村洋平、松村晃泰の2名。

「岡山現代彫刻の断片」は岡山県にゆかりのある彫刻家に焦点を当てた展覧会シリーズ。多様な素材で制作される彫刻作品は、観る者に作者の意図によってはまったく異なる表情をみせてくれる。複数の素材を組み合わせるなど既成の伝統的様式美の束縛から距離を置くことにより更に多種多様な表現を見せ、時代の変化に伴いそのカタチを変容させる。

　本展は、素材や手法の変化に富み、多彩な展開を見せている岡山における現代彫刻の多様性とその面白さの一端を紹介する選抜展。

　人物や身近な動植物を題材にした具象彫刻を制作する川村洋平は、自分の目で見たもの、現実にあるものをモデルにした彫刻を追求している。いっぽう、感覚的なものをかたちにする抽象彫刻を制作する松村晃泰は、時間や感情などといった視覚的にとらえられないものを、自分の解釈で素材やかたち、空間などの造形要素を構成したものによって表現している。

　岡山県を代表する2人の新進気鋭の彫刻家による具象と抽象彫刻作品は、制作者の感性と鑑賞者の感性の化学反応により、想像力をかきたてる空間や時間となることだろう。