EXHIBITIONS

Each One Here: the sphere of coconogacco

art space “traffic”
2022.03.03 - 05.16

Childhood ©︎ Kentaro Okumura

山で暮らした犬はヤギに似た ©︎ Keisuke Degawa

johngalliano ©︎ BIRDMAN

Lesson.2 壁の中に置く ©︎ Karu Miyoshi

untitled ©︎ Yoshikazu Yamagata

 ファッションレーベル「リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)」デザイナーの山縣良和が2008年に設立して以来、多くの才能を輩出してきたファッションスクール「ここのがっこう(coconogacco)」。その修了生と山縣良和によるグループ展「Each One Here: the sphere of coconogacco」が開催される。

「ここのがっこう」は、装いの原点に向き合いながらファッション表現を学ぶ学校。国内外で活躍する多くのデザイナーやアーティストを輩出し、受講生・修了生は、LVMHプライズ、イエール国際モードフェスティバル、ITSなど国際コンペティションのファイナリストに数多くノミネートされている。2021年には第39回毎日ファッション大賞鯨岡阿美子賞を受賞した。

 本展には、アート界で存在感を発揮する4人の「ここのがっこう」修了生、奥村健太郎(おくむら・けんたろう)、出川慶亮(でがわ・けいすけ)、BIRDMAN(バードマン)、三好彼流(みよし・かる)が参加する。

 奥村健太郎は2002年香港生まれ。上海、シンガポールで育つ。二面性(逆説、相反する考え方の間には存在し得ない調和)の探求をテーマに絵画作品を制作している。また近作はドキュメンタリー写真が持つ剥き出しの迫真性に触発され、自分自身で撮影した写真と拾われたイメージを組み合わせている。ロンドン芸術大学カンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツに在籍。

 出川慶亮は1997年生まれ、神奈川県出身。東京工芸大学芸術学部デザイン学科卒業。writtenafterwardsに在籍後、coconogacco、ゲンロン新芸術校、美学校で学んだ。美学校では根本敬の講座「特殊漫画家-前衛の道」を受講。幅広いジャンルの制作過程を修得する。

 BIRDMANは台湾出身、2015年から東京を拠点に活動している。「カラフルな色使いが好きです。絵を描くこととファッションが好きです。ストーリー作るのも好きです。モンスターの世界を作り続けたいです」と語る。2018年、BLOCK HOUSE(東京・神宮前)で初個展を開催し、同年に鉄工島フェスに参加。2020年には愛☆まどんなとの2人展「A Tangled Mass ややこしの関係」(BLOCK HOUSE)を開催。

 三好彼流は2001年生まれ、大阪府出身。主にパフォーマンス、絵画、プロジェクト、彫刻などで作品を発表する現代アーティスト。2020年から開始した「身体の拡張」シリーズでは、人間関係、コミュニケーション、フィーリングの差異をテーマに自ら制作した装置などを用いてパフォーマンスを行っている。

 本展は、4人と「ここのがっこう」代表の山縣良和が制作したペインティングとドローイング作品を紹介する、「ここ(個々)=Each One」が「ここ(此処)=Here」に結集するグループ展。本展監修者の山縣は次のコメントを出している。

「新たな人間像と世界を想像、創造することがファッション・デザインの本質なのではないかと思います。新たな人間像を創出するのは、自分自身の心の内にある曖昧で複雑な世界像と自分自身の延長線上にある人間像を、自らの外側に描き出す行為でもあるのではないでしょうか。coconogaccoで遭遇するドローイングは良い意味で完成や終わりを感じさせない、現在進行形の純粋で生々しいものばかりです。本展示に参加する4名のアーティストの作品は、自らの心象を見事に創出しています」。