EXHIBITIONS

田中望 個展「山づと」

田中望 葉わさび(部分) 2022

田中望 うさぎの山薬や 2022

フィールドワークとして山菜を採る作家

 アートフロントギャラリーでは、田中望の個展「山づと」を開催する。会期は3月4日~27日。

 田中は1989年宮城県仙台市生まれ。2014年に東北芸術工科大学芸術文化洋画研究領域修士課程を、17年に東北芸術工科大学芸術工学研究科芸術工学専攻博士後期課程を修了し、現在は山形県を拠点に活動。東北の風土や民俗学の研究、フィールドワークなどの成果をもとに、絵画作品を制作している。

 現在、自ら中山間地域に住みながら、採集の歴史と技術を研究している田中。採集生活で得た材料、経験をもとに美術を通して小さな経済を回すことを試みている。田中の特徴である身をもって体験し取材するジャーナリスティックな視点と、実際にその土地に赴き住民から聞き出す物語(話をすることによって引き出される民俗学的リサーチの結果)が加わることで得られるリアリティは、作家の絵画の強いストーリー性を支えている。

 本展は、自身の体験した採集生活と山形県庄内地方ならではの生活を通した複数の絵画作品と、「山苞(やまづと)」をテーマとした新たな展開を見せる立体作品で構成される。また会期中盤からは絵画や立体作品以外にも、自らが採取した山の幸を用いた作品および保存食をオリジナルのパッケージにて販売。3月12日・13日には公開制作も予定されている。