EXHIBITIONS

愛甲次郎新作展示「fragments」

愛甲次郎 無題 2022

 アーティスト・愛甲次郎(あいこう・じろう)の個展「fragments」が銀座 蔦屋書店(インフォメーションカウンター前)で開催される。2月27日~3月19日まで。

 愛甲は2016年東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業。雲肌麻紙を支持体に、鉛筆、墨を用いた日本画のフォームをもって現代美術の分野で活躍している作家だ。

 愛甲は、下図の構成にもっとも時間をかけ、墨のアウトラインづくりとほかの構成要素を反芻・対峙しながら作成。紙に定着しやすくはっきりとした墨と、それとは対照の、定着力の強くない鉛筆のうつろいやすさと繊細さとが愛甲の作品の特色を形成している。

 インパクトある墨の動的な印象と、鉛筆の静的な印象の対比、呼応が鑑賞者を魅了し、そして描かれた人物の持つ曖昧な空白が、見る者を作品世界へと招き入れる。私たちは作品を見つめながら、愛甲独自の世界観のなかに心地よく没入してゆく感覚をもたらされる。

「frangments」と題した本展では、「断片の集合」を強く意識して制作された。窓は鑑賞者が作品に入り込む装置となり、本来の所在から切り取られ、不在を伴った断片が新たな世界を構築する。