EXHIBITIONS

企画展

かたちのチカラ

素材で魅せる

2022.02.26 - 03.31

朱漆盤 日本・室町時代 1506(永正3) 根津美術館蔵

黒漆輪花椀 中国・北宋時代 12世紀 根津美術館蔵 永田牧子氏寄贈

青磁竹子花入 龍泉窯 中国・南宋時代 13世紀 根津美術館蔵 重要文化財

緋襷鶴首花入 備前 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵.jpeg

刷毛目茶碗 銘 八重葎 朝鮮・朝鮮時代 16世紀 根津美術館蔵

 根津美術館では、かたちと「漆」をはじめとする素材に注目した企画展「かたちのチカラ 素材で魅せる」を開催する。

 文様をちりばめた華やかさとは対照的な、素材を生かしたミニマルな造形の美しさも工芸ならではの魅力のひとつ。本展では、漆工、陶磁や金工の優品を収蔵する根津美術館のコレクションを軸に、3つの切り口で素材がかたちづくる造形美を見つめる。

 ひとつは、中国の宋元時代を中心とした無文の漆器や磁器に代表される、均整と洗練を極めた唐物(からもの)のかたちを、次に、長年の使用に耐えるたくましさを持った日本の用のかたちを紹介する。とくに寺社の什器であった朱漆器は、後世その力強い造形に加えて塗膜の摩耗にさえも美が見出されるようになった。

 3つ目に紹介するのは、新たな価値の創出に挑み続ける茶道具のかたち。なかでも、素材のバリエーションが豊かな花入と水指のかたち、また茶席では脇役としてさりげなく場を支える塗物の茶道具のかたちに改めて光を当てる。

 そして本展ではとくに「漆」という素材に注目。漆は、ウルシノキから採取される樹液を用いた天然の塗料であり、接着剤でもある。塗料としての漆は、硬化すると麗しい艶のある頑強な塗膜を形成することから、美しさと強さを兼ね備えた希有な素材として珍重され、古来様々な造形に用いられてきた。これら漆工に陶磁や金工の名品も織り交ぜながら、文様がないからこそ鮮明になる、かたちのチカラ、素材の魅力を紹介する。