EXHIBITIONS

木村伊兵衛と画家たちの見たパリ 色とりどり

2022.02.19 - 03.27

木村伊兵衛 パリ(1954-55) © Naoko Kimura

木村伊兵衛 パリ(1954) © Naoko Kimura

木村伊兵衛 ミラボー橋、パリ(1955) © Naoko Kimura

木村伊兵衛 ロンシャン競馬場、パリ(1954) © Naoko Kimura

木村伊兵衛 夕暮れのコンコルド広場、パリ(1954) © Naoko Kimura

荻須高徳 サンマルタン通り 1960 目黒区美術館蔵
© ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021 E4477

木村伊兵衛 撮影=田沼武能

 目黒区美術館で展覧会「木村伊兵衛と画家たちの見たパリ 色とりどり」が開催される。

 木村伊兵衛(1901〜74)は、東京に生まれ、報道写真やポートレイトにより日本の写真界を牽引した写真家。雑誌『光画』に発表した東京の下町のスナップショットと、「ライカによる文芸家肖像写真展」で頭角を現すと、以後、「ライカ使いの名手」として活躍した。

 1954年と翌55年には、日本人写真家として戦後初めてヨーロッパに取材。愛用のライカと、開発されてまもない国産のカラーフィルムを手にパリを訪れ、そこで写真家のアンリ・カルティエ=ブレッソンやロベール・ドアノーらと親しく交流し、その案内で古い通りや市場など、庶民の生活の場を撮影した。木村がシャッターを切った場面からは、街角の生き生きとした光景や人々の息づかいなど往時のパリの魅力が色鮮やかに蘇る。

 本展は、木村作品のなかでもとりわけ異色なカラーのスナップ写真131点を中心に、1910〜50年代にかけてパリ留学を経験した画家たちの作品(同館所蔵)をあわせて紹介。展示は「パリの街角」「素顔のパリっ子」「安らぐパリ」「華やぐパリ」「目黒区美術館コレクション『私のパリ』」の5つのテーマで構成される。

 藤田嗣治や荻須高徳ら、念願の洋行を果たした画家たちは、ヨーロッパの空気のなかで自分の作品を新しい方向へと変えるべく、ひたむきにパリを描き出した。異国の地を旅するように、写真と絵画、異なる技法によって表された色とりどりのパリの情景を楽しみたい。