EXHIBITIONS

MIMICのリサーチ・アーカイブ pt.1 石井海音

 イムラアートギャラリーでは、リサーチプロジェクト「MIMC(ミミック)」による特別展「MIMICのリサーチ・アーカイブ pt.1 石井海音」を開催する。

「MIMIC」はアーティストがアーティストを模倣するプロセスを記録するリサーチプロジェクト。2019年にアーティストの岡本秀(日本画、マンガ)、熊野陽平(現代美術)によって立ち上げられ、2021年度より、京都市立芸術大学芸術資源研究センターの重点研究プロジェクトとして採択されている。本プロジェクトでは、現在活動を続けるアーティストのリサーチとアーカイブを通じて、これからの美術史における作者や作品、地域の語り方を探っている。

 プロジェクト名の通り、「MIMIC」は対象に選んだアーティストが扱う技法やテーマを、調査者が「模倣(MIMIC)」することによってリサーチを行う。このリサーチの過程で発生する作品制作や、対話の記録によって、アーティストの用いる固有の技術を、より開かれたものへと読み替えることを試みている。

 初回となるリサーチでは、2021年10月にイムラアートギャラリーにて個展「視線のたより」を開催した石井海音(油画)の調査を実施。このリサーチでは、普段は日本画を扱うMIMICの岡本が、石井の作風を模倣した油画作品を制作した。岡本は、石井と同世代で、おばけや画中画といった同様のモチーフを扱うなど、近い関心を持ちつつも異なる質の絵画を制作する点が、石井へのリサーチを行うきっかけとなったとしている。

 なぜ扱うモチーフが共通してくるのか、同時に、そこでどのような方向性の違いが見えてくるのか。リサーチでは、岡本の模倣(MIMIC)を媒介することで、石井の絵画や、同時代、同世代の作品に関するひとつの視座が提示されている。

「MIMC」の第一回展示であり、石井についてのリサーチの成果を見せる本展では、アーカイブ映像とプロジェクト内で制作された作品を公開する。また、今回模倣した岡本と模倣された石井の新作も一点ずつ展示される。

 なお会期中は、MIMICや石井に関するトークイベントも合わせて開催予定。同時代の絵画や、京都の美術について考える機会となる本展に注目してほしい。