吉左衞門X 70年世代の今

　第8回となる「吉左衞門Ｘ」では、戦後の混乱と再生を背負って生まれてきた世代であり、その時代の風を受けながら、現在も制作活動を続けている14名の作家たちの今を展観する。

　まさに団塊の世代、作家たちが青春を過ごした1960年代末〜70年は、高度経済成長により立ち直った戦後日本社会の大きな転換期であり、様々な矛盾を背負い、価値観が怒濤のように変化してゆく時代は、それぞれの若者に深い影響を与えた。東西の様々な価値観やイデアが激しくぶつかり合った時代の多様性を表すように、かつて同じ学舎で彫刻を学んだ作家たちは、様々な道を歩んで行く。

　参加作家は河原美比古、國松明日香、久保制一、熊瀬紀子（旧姓・澤村紀子）、坂倉新兵衛、土屋豊、鶴見修作、登坂秀雄、とさかますみ（旧姓･成瀬真澄）、日原康、本田悦久、前田精史、吉江庄蔵、樂吉左衞門の14名。

　14名の作品を通じ、自立への道、社会と向かい合った個の精神に、時代がどのような痕跡を残したのかを見ることができる。