EXHIBITIONS

杉山有希子作品展「CRASH / PHASES」

杉山有希子 PHASES SPACESUIT 01 2022

杉山有希子 PHASES VLBA 04 2022

杉山有希子 立体作品(イメージ画像)

 現代美術家・杉山有希子の個展「CRASH / PHASES」が銀座 蔦屋書店 アートウォールギャラリーで開催される。気鋭アーティストを特集する展覧会シリーズ「銀座 蔦屋書店 ART PARTY」の14回⽬。

 杉山は1985年京都府生まれ。2011年金沢美術工芸大学彫刻専攻修士課程(菅木志雄ゼミ)修了。自然のなかに遺棄された人工物や、人類が宇宙空間へ挑むためにつくられてきた機械を被写体に撮影している。

 美術大学では彫刻作品を学んでいた杉山だが、ロサンゼルスに赴いた際に、広大な自然とそこに遺棄された人工物に心を惹かれ、写真作品の制作を開始。人工物と自然、人間世界と宇宙との衝突をテーマとして、砂漠に遺棄された爆撃機、最初期の宇宙服や実験用のマネキン、スペースシャトルの後継機となるはずだったスペースクラフトなどを被写体に選び、制作を行っている。

 杉山の作品はその主題を表現するために、様々な手法が用いられている。近赤外線カメラを用いることで植物を白く写し出し、「自然」と、人間が遺した「人工物」との対比を浮き彫りにする。ドローンを使い、ほかの人では撮ることのできなかった砂漠に遺された人工物を写真に収めており、印刷においては、スイス製のUVプリンターを使用し、特殊な立体感やテクスチャーを表現。これらの手法によって制作された作品には、人間が進歩の過程に忘れてきた過去の遺物が際立った存在感をもってとらえられており、鑑賞者の眼を引きつける。

 本展では、最初期の宇宙服、実験用のマネキンをモチーフとした初挑戦の立体作品、新作を含む約15点が展示される。

 また本展にあわせて、杉山の初となる作品集『CRASH / PHASES』が青幻舎より刊行。作品集および作品は、銀座 蔦屋書店店頭およびアートのオンラインマーケットプレイス「OIL by 美術手帖」にて販売する。