EXHIBITIONS

マックスウェル・マクマスター「A Beautiful Distraction」

JPSギャラリー東京
2022.01.29 - 02.21

マックスウェル・マクマスター Blue Box 2021 提供=Maxwell McMaster, JPS Gallery

 JPSギャラリーでは、マックスウェル・マクマスターの日本初個展「A Beautiful Distraction」を開催する。会期は1月29日~2月21日。

 マックスウェル・マクマスターはカリフォルニア州サクラメント出身。アートセンター・カレッジ・オブ・デザインでイラストレーションを学び、ロサンゼルスの夕暮れの雰囲気をミニマルなキャンバスで表現した作品で知られている。

 本展では、マクマスターの新しい芸術言語の探求を示す新作ペインティングと陶芸作品のシリーズを発表する。

「A Beautiful Distraction」においてマクマスターは、シュルレアリスムのビジョンを持って、自身の美的表現と個⼈的な⾔語を見直している。シンプルなかたちという初期作のエッセンスを残しつつ、現在は⼼理的緊張、夢の世界、現実の不気味さなど、よりダークなトーンの作品を制作。そうすることで、マクマスターはロサンゼルスのユートピアの次元を広げていった。

 いっぽう、新しい陶芸作品はのどかな街並みの延長であり、ここでは題材と作品の使い分けに挑戦。蝶のかたちをした花瓶は、夢のような要素が混ぜ合わさり、新しい現実を切り開くアーティストの能⼒が発揮されている。作家の手づくりの大きな蝶のガラスの花瓶は、観客が私生活を探り、それにふれることができるようにするための開放的なシンボルとして機能する。

 世界のなかでも華やかな都市のひとつであるロサンゼルスは、アーティストの⼈生を通してインスピレーションの対象となってきた。今回、マクマスターはロサンゼルスのキャピタリズム的でありながらエリート主義的な華やかさから、⾃然環境や夕⽇という、この街に住む誰もが共有する普遍的な贅沢に観客の⽬を向けさせる。ロサンゼルスの街並みを、筆跡を使わずにエアブラシを駆使して描くことで、キャンバスを柔らかく均⼀なテクスチャーに仕上げ、控えめで落ち着いたグラデーションが、夢のような雰囲気に満ちている。

 都市と自然界、夢と現実の相互関係を探求し、空間のあいだの⼟台を見つけようとするマクマスター。本展では、観客の潜在意識の崇⾼さへの旅に⽕をつけるような、⼼に残る作品の数々が展示される。