EXHIBITIONS

山本渉「光解体」

山本渉 光解体 “photography” 2021 © Wataru Yamamoto Courtesy of Yumiko Chiba Associates

 ユミコチバアソシエイツでは、山本渉の新作個展「光解体」を開催する。会期は1月22日~2月26日。

 山本は1986年栃木県生まれ。2011年にキヤノン写真新世紀佳作を受賞、13年に多摩美術大学大学院博士前期課程を修了。「プラタナスの観察」「線を引く」「春 / 啓蟄」「しみ そめ しわ」「欲望の形/Desired Forms(2012-2017)」など、一貫して写真というメディアを用いながらも、シリーズごとに異なる独自の制作手法を開発することで発表を続けている。

 本展は「光解体」と題し、光ファイバーを用いたインスタレーションと、それをもとに撮影した写真作品で構成される。

 山本は、植物に高周波・高電圧をかけ、その放電による発光をとらえた「プラタナスの観察」や、水とカラーフィルムを用いて太陽熱の温度変化を撮影する「春 / 啓蟄」、紫外線に感光する液体に浸した布に生じた表面の変化を記録する「しみ そめ しわ」など、これまでも写真の成立条件であり、根源でもある太陽光線や感光作用を、多角的な方法を通してとらえようとしてきた。

 本展で山本が展開するのは、従来のような自然の光ではなく、人工的な光ファイバーを用いた作品群。物理的な光の通行路であり、インターネットの環境において膨大な情報の交通を可能にする高速通信網となる、情報環境を含めた現代社会における「光」とは、情報伝搬の速度を示すものであると同時に、物理的な光のケーブルであり、また、ディスプレイやモニターが発する光でもあるだろう。

「光」の諸相から、情報、画像、映像、写真の境界がきわめて曖昧になった現代社会における「イメージ」とは何かを問いかける、山本の新作に注目してほしい。