EXHIBITIONS

関根美夫 展

2022.02.05 - 03.19

関根美夫 No.158 1968

関根美夫 グタイ 1954

関根美夫 No.24 1964

関根美夫 No.388 1975

 日本の戦後美術を代表するアーティストのひとり、関根美夫(1922〜1989)の個展が東京画廊+BTAPで開催される。会期は2月5日~3月19日。

 関根は和歌山県生まれ。自由美術協会を通じて吉原治良(1905〜72)と出会い、1954年に具体美術協会の結成に加わった。1955年に第7回読売アンデパンダン展に出品、1958年にはミシェル・タピエ(1909〜1987)が作品選定を行った「新しい絵画世界展/アンフォルメルと具体」(大阪で開幕し東京、京都、広島、長崎に巡回)に参加。1959年に具体美術協会の脱退とともに、東京に移り住み、第15回読売アンデパンダン展(1963)で初めて「そろばん」の絵画作品を発表。以来、生涯にわたって「そろばん」「門」「貨車」「富士山」のシリーズを軸に制作を展開した。

 具体美術協会結成当時、関根は身体性や物質性を強調した抽象画を多く制作していたが、具体からの脱退とともにその傾向から離れていった。「そろばん」は、ジャスパー・ジョーンズの「標的」シリーズから着想を得たと言われ、様々な構図や色彩を展開しながら、晩年に至るまで多数の作品が生み出された。

 関根の作品においてそろばんの珠は、第一にその可動性によって、第二に数を示すというその記号性によって、幾何学的構成の興味深いモチーフとなる。実際、珠の配置で制作年月を読み取らせるなど、関根の作品がもつ数的な謎解きは、絵画を抽象性へと大きく傾けるものだ。いっぽうで、そろばんというオブジェの抽象性を具体に即して画面に示すことは、伝統的なイリュージョンの作用によらないリアリズムの達成として理解することも可能だ。

 東京画廊では1965年からこれまで5回の個展を開催してきた。本展では、関根が生涯制作を続けた「そろばん」を主題としたペインティングを中心に展示。関根が実験を重ねた1960年代の初期の作品を含め、代表シリーズの変遷を紹介する。