EXHIBITIONS

土肥美穂

2022.01.15 - 02.19

土肥美穂 buttai 86 2021 © Miho Dohi Courtesy of Hagiwara Projects

 HAGIWARA PROJECTSで、彫刻家・土肥美穂の個展が開催される。同ギャラリーでは4年ぶりとなる個展。

 土肥は1974年奈良県生まれ。2000年に東京造形大学彫刻科を卒業後、02年に同大学研究生を修了。近年、ロサンゼルスやニューヨーク、またパリなどのギャラリーで展覧会を行い、高い評価を受ける。20年には米国で一番古い現代美術館、ルネサンス・ソサエティでの個展(新型コロナウイルスの影響によりオンライン開催)も行い、海外のキュレーターからも注目されている。

 土肥は、真鍮や銅板、糸、布、紙や木材といった様々な素材と塗料を組み合わせて立体作品を制作。素材のかたちや質感、色などが互いに及ぼす作用を丁寧にすくい取りながら、時に実験的ともいえるような方法でそれらを組み合わせていく。テーマや完成形を決めず、未知のものをつくり出す可能性をひたすら探りながら生まれる作品は、構造の要素がそれぞれ不均等に拮抗しながらも、すべてが確信的に調和しており、有機的とも言える存在感を呈している。

 土肥はそのようにしてできた作品を「buttai(物体)」と呼ぶ。「buttai」は見る人によって様々なものを想起させるが、何かひとつの意味や既存の認識に固定されることを拒む。

 本展は、すべて新作の立体作品で構成される。作品は台座に置かれるだけでなく、壁にもかけられ、鑑賞者が視線を動かして様々な角度からその有機的な物体を楽しむことを促す。見る人の解釈をオープンにしている作品からは、内包された作家の熱量と、確かな作品の強さを感じることができるだろう。