EXHIBITIONS

文様のちから

技法に託す

2022.01.08 - 02.13

誰(た)が袖図屏風(そでずびょうぶ) 右隻 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵

誰(た)が袖図屏風(そでずびょうぶ) 左隻 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵

雲龍堆朱盆(うんりゅうついしゅぼん) 中国・明時代 1589(万暦17)年 根津美術館蔵

 根津美術館が企画展「文様のちから 技法に託す」を開催する。同館では2010年以来となる、染織品を主要なテーマとした展覧会。

 果てしなく続く縞文様や格子文様、一定のリズムで繰り返される唐草(からくさ)文様、幸福への願いが込められた吉祥(きっしよう)文様と、工芸品に施される文様は作品の外形と調和して、得も言われぬ魅力を醸し出している。

 工芸品のつくり手は、文様をあらわすためにもっとも適した技法を考案し選択するいっぽうで、技法の特性を生かした文様表現を追求してきた。技法と文様は生み出し、生み出される相対関係にありながら、しかも一体となって作品世界をつくり上げる「相即不離(そうそくふり)」の関係にある言えるだろう。

 本展は、文様と技法それぞれの立場から両者の関係に迫ろうとするもの。第1章では「文様から技法を探る」として、能装束や現在のきものの原形である小袖をもとに、文様と技法の聞にどのような関係が見いだせるのかを探ると同時に、当時の服飾の流行を反映した「誰(た)が袖図(そでず)扉風」を、描かれたきものの文様と技法の観点から読み解く。

 第2章は「技法から文様を探る」。同じモチーフをあらわすために、陶磁器、漆工品、金工品では技法にどのような違いが見られるのか、描く、彫る、鋳るなど、技法の核となる行為に着目して技法の特徴を明らかにする。