EXHIBITIONS

加賀城健「Manipulation / Interchange」

2022.01.06 - 01.16, 2022.01.27 - 02.13

加賀城健 出品予定作品(部分)

加賀城健 出品予定作品(部分)

加賀城健 Manipulation-Mentor 2021 撮影=佐久間秀樹

加賀城健 Manipulation-Mentor(部分) 2021

加賀城健「Physical / Flat」での展示風景(the three konohana、大阪、2017) 撮影=長谷川朋也

加賀城健「Physical / Flat」での展示風景(the three konohana、大阪、2017) 撮影=長谷川朋也

 加賀城健の個展「Manipulation / Interchange」が前後期に分けて開催される。the three konohanaでは4年半ぶりとなる個展。

 加賀城は1974年大阪府生まれ、2000年大阪芸術大学大学院芸術制作研究科修了。現在は石川を拠点に制作・活動している。金沢美術工芸大学美術工芸学部工芸科准教授。

 the three konohanaでの前回の個展「Physical / Flat」(2017)は、加賀城の20年来の制作活動の変遷を振り返ることを目的に、2期に分けた過去作中心の展示と、アートフェア「ART OSAKA 2017」での新作中心での展示の3部構成で行った。染色と現代美術の領域と行き来しながら多岐に展開されてきた加賀城の表現を、「身体性(Physical)と「平面(Flat)」の視点からとらえ直し、染色表現を起点としたアプローチが、当時の現代美術の表現動向やその論点にその都度結び付いていたことを示す機会となった。

 この個展の直後に、加賀城は金沢美術工芸大学の専任教員に着任し、活動の拠点を石川県に移して4年が経過する。その間、染色の素材・技法の研究とそれに基づく作品制作・発表に一層励みながらも、後進の教育・指導にも勤しみ、新たな制作環境の下で、加賀城の思考には少しずつ変化が生じてきている。

 作家としての自らの姿勢を後進に示そうとするなかで、感覚的な制作手法を抑え、論理的にそれを選択する意識が高まったと加賀城は言う。加賀城がいま強く関心を寄せているのは、以前より自身の制作テーマのひとつであった「他力」と呼ばれる領域を、より積極的に作品に取り込むこと。加賀城の作品を構成する主な素材である布や染料としての水、糊などの性質を、実験と観察を幾度と重ねて理解することは以前より大切にしていたが、作品制作において自身が取り組む領域と、自然の現象に委ねる領域を、いかに理知的に定めていくかに思考を向けている。また、近年の作品は染色技法のレイヤーが複雑化し、表層的には制作のプロセスがとらえにくい視覚構成になっており、加賀城の積極的な手技による経験の再構築と研究意欲が随所に垣間見られる。

 本展は、前期の2週間と後期の3週間それぞれに、加賀城の最新作を中心に展示手法や作品の形状が異なる2種類の個展形式で構成される。加賀城がとらえている今後の表現の射程を、大阪での久しぶりの個展、かつ現代美術の領域での発表のなかでふれる機会となる。