EXHIBITIONS

村井進吾展「ハスバタケ」

村井進吾 ハスバタケ(参考図版) 2018 撮影=山本糾

 彫刻家・村井進吾の3年半ぶりとなる新作個展「ハスバタケ」がギャルリー東京ユマニテで開催される。会期は1月11日~29日。

 村井は1952年生まれ。多摩美術大学大学院を修了後、数多くの個展、グループ展に出品し精力的に発表してきた。近年は、2001年の大分市美術館での個展、1996年からは茨城県筑波山麓を会場に、およそ隔年開催されている「雨引きの里と彫刻」に出品。彫刻と地域の在り方を野外彫刻展という場を通して提示してきた。さらに、2009年に国立新美術館で開催された「アーティストファイル2009-現代の作家たち」では、全長42メートルの大空間に黒御影石の作品群で、静謐な空間をつくり好評を博した。

 村井の作品はそのストイックな印象のせいか、まず石の美しさに心を奪われる。作品は黒御影石や大理石を掘削しただけの簡潔な形状のようだが、それらの表情を丁寧に見つめると所々に内部に思いを馳せる痕跡がいくつも見られる。

「闇の固体である石とはどのようなものなのか?その闇の内部を見てみたい」と村井は言う。村井の作品はつねに「石」本来がもつ重量感や緊張感を湛えながらも、沸々と湧き上がる不可思議で愛おしいその素材への探究心が十分に発露されたものと言える。

 本展では、1メートル四方の大作を中心に数点を発表。「黒体」「再封」シリーズと続く、表面を基盤の目のように細かく削る仕事から、さらにその凹凸をなくした「ハスバタケ」の様相は、枯れたハスと石の内外への作家の関心がイメージとともにつながっていくようだ。