EXHIBITIONS

ザ・トライアングル

加納俊輔:サンドウィッチの隙間

加納俊輔 Pink Shadow_43–72(部分) 2021

加納俊輔 Pink Shadow_38 2021

加納俊輔 Pink Shadow_42 2021

加納俊輔「滝と関」 Maki Fine Arts(東京、2021)での展示風景

加納俊輔 圧縮トレーニング_DSC5450 2021

 京都市京セラ美術館が新進作家の作品を展示する企画展シリーズ「ザ・トライアングル」。2021年度の第2弾は、「加納俊輔:サンドウィッチの隙間」を開催している。

 加納は1983年大阪府生まれ。京都嵯峨芸術大学大学院(現・嵯峨美術大学大学院) 芸術研究科版画専攻修了。現在、京都市在住。写真、版、コラージュ、 映像などを混交して用いた作品で知られる。2011年に「キヤノン写真 新世紀2011」、「第15回岡本太郎現代芸術賞」にそれぞれ入選して以降、継続的に作品を発表。また、アーティスト・ユニットTHE COPY TRAVELERSの一員として「MOTアニュアル2019」(東京都現代美術館)などに参加している。

 現在も京都をベースに制作を行う加納は、主に写真を用い、複数回の撮影を重ねて複雑なレイヤーをもつ1枚のプリントを仕上げ、日常的な事物や風景のなかにもうひとつ、別の世界の断面を垣間見せるような試みを続けてきた。

 本展では、地下1階の展示室で、近年集中的に取り組んでいるシリーズ「Pink Shadow」の最新作を発表。写真の裏面に、ドット模様などが入った透明シートを添えて後ろから光を当てて撮影することで、表裏の錯綜した関係を表現するこのシリーズ作品は、鑑賞者に「見る」ことにまつわる感覚的な反応の不確実さを想起させる。

 また会場1階のガラス面には、日々のスケッチのように制作し続けてきたドローイング/コラージュのシリーズ「圧縮トレーニング」からの最新作を、布に拡大印刷した大型のインスタレーションとして展示する。加納の試みが示す、新鮮な知覚の揺れを伴う「見る」ことの不思議を堪能してほしい。