EXHIBITIONS

ALLNIGHT HAPS 2021「彼は誰の街に立つ」

東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)
2021.08.01 - 2022.02.05

ALLNIGHT HAPS 2021「彼は誰の街に立つ」第1期 鈴木昭男「pinto 2021」(2021年8月1日~9月11日)展示風景より 撮影=前谷開

ALLNIGHT HAPS 2021「彼は誰の街に立つ」第2期 小川真生樹「今はここです、はいもう見えません」(2021年9月18日~10月30日)展示風景より 撮影=前谷開

ALLNIGHT HAPS 2021「彼は誰の街に立つ」第3期 村上慧「広告収入を消化する」(2021年11月13日~12月18日)展示風景より 撮影=前端紗季

鬼海弘雄 休み休み歩いて帰るという老人 2003 参考画像

鈴木昭男 点 音”o to da te” ソナンビエンテ フェスティバル、ベルリン 1996 参考画像

 若手の展覧会企画者の養成を目的に行われる「ALLNIGHT HAPS」。2021〜22年は、河原功也(東京都渋谷公園通りギャラリー学芸員)による企画展「彼は誰(かわたれ)の街に立つ」を開催している。本展では、人間を取り巻く世界、生活環境、他者との間柄に対して、独自の距離感と方法でコミュニケーションをはかってきた4人の作家に注目する。

 出展作家は、鈴木昭男(「pinto 2021」、2021年8月1日~9月11日)、小川真生樹(「今はここです、はいもう見えません」、2021年9月18日~10月30日)、村上慧(「広告収入を消化する」、2021年11月13日~12月18日)、鬼海弘雄(2021年12月25日〜2022年2月5日)※()内はHAPSギャラリーでの個展・会期。それぞれがHAPSの1階スペースにて終夜展示を行い、道路からウィンドー越しに鑑賞する構成となる。

 本展では、HAPSが位置する街のなかでの作品展開も試みられた。それぞれのアクションやその痕跡は、遭遇者にとっては時に異質であり、奇妙に思えるかもしれない。しかし、そのギャップとの予期せぬ出会いのなかには、他者や不可視なものへ向かい、新たな時代へと進むためのヒントが垣間見えるだろう。本企画は、コミュニケーションの変化球を投げ続けてきた4人の作品を通して、街や自然、生活、人間、そして自分自身に向き合う場をつくる。

「ALLNIGHT HAPS」は日々変化するいま、柔軟かつ的確なサポートとなるよう、これまで年間2名であった企画者を本年度より1名とし、展示の期間もこれまでより長期とした。今回の「彼は誰の街に立つ」企画者である河原は、京都での学生時代より多数の展覧会企画を運営してきた実績を持ち、今後の活躍が期待される若手キュレーターだ。他者との交流が遠のいている昨今で、他者あるいは世界に対して独自のアプローチを試みる作家4人の作品は、夜間ガラスに隔てられたHAPSという場所とその周辺に、それぞれの方法で介入し、あるいは協働する。新たなかたちでの「ALLNIGHT HAPS」の挑戦に注目してほしい。