EXHIBITIONS

DOMANI・明日2021-22 文化庁新進芸術家海外研修制度の作家たち

DOMANI plus @ 愛知「まなざしのありか」大塚泰子、冨井大裕

愛知芸術文化センター 愛知県美術館ギャラリーJ
2022.01.18 - 01.23

冨井大裕 個展「斜めの彫刻」(Yumiko Chiba Associates viewing room shinjuku、東京、2020)での展示風景
撮影=柳場大 © Motohiro Tomii Courtesy of Yumiko Chiba Associates

大塚泰子 space color -Obu- 2017

 文化庁による新進芸術家海外研修制度の成果を発表してきた「DOMANI・明日展」。1998年からスタートし、第11回から第23回までは国立新美術館(東京)で年に1度のアニュアル展として催されてきた。途中からは「DOMANI・明日展 plus」などで地方会場やオンラインでの開催も加わり、次第に活動の幅を広めている。

 第24回を迎える今年度の「DOMANI・明日展」は、新型コロナウイルスの影響を受け、例年の国立新美術館での大規模展開催が難しく、今回は、従来から実現の機会を探ってきた地域展開に挑む。これまでの地方会場の「DOMANI・明日展 plus」シリーズを踏襲した中・小規模の企画展「DOMANI plus」、そして文化施設の自主企画に連動する特別プログラム「and DOMANI」を2021〜2022年にかけて5会場で展開していく。

 参加アーティストは、宮永愛子(京都府立図書館)、蓮沼昌宏(水戸芸術館)、村上友重+黒田大スケ(広島城二の丸)、大塚泰子、冨井大裕(愛知県美術館ギャラリー)、長島有里枝、古橋まどか(港まちポットラックビル3F、旧・名古屋税関港寮)、志賀理江子(旧観慶丸商店・宮城県石巻市)※()内は関連展示・企画展会場。

「DOMANI plus」は愛知と宮城で開催。愛知では愛知芸術文化センター内(2022年1月18日~1月23日)にて大塚泰子と冨井大裕が、港まちポットラックビルおよび旧・名古屋税関港寮(2022年1月18日~3月12日)にて長島有里枝、古橋まどかが参加する。

 大塚泰子は1968年広島県生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻版画修了。現在、愛知県を拠点に活動。リトグラフ(石版画)の手法やクレパスなどの素材を用いて作品を制作している。平面や立体作品によって空間そのものを構成し、かたちのあるものがもつ「色」や「色の存在」そのものの新しい見方を提示する。

 冨井大裕は1973年新潟県生まれ。武蔵野美術大学大学院研究科彫刻コースを修了し、現在、同大学准教授。既製品や日常の風景を見つめることで、モノがもつ構造や造形を把握し、固定された本来の役割をとらえ直しながら、現代における彫刻の新しい可能性を模索し続ける。実験スペース「壁ぎわ」「はしっこ」の世話人でもある。

 大塚と冨井は、あいちトリエンナーレなど芸術祭の会場ともなってきた愛知県美術館のギャラリーで作品を展示する。平面や立体などの技法によって空間における色の存在について考えてきた大塚と、あらゆる既製品を見つめてその構造や造形を着想の起点に現代的な彫刻作品を制作し続けてきた冨井。2人の作品を見ることは、色彩や形体をまなざすというシンプルな行為の様々なあり方を考え、これまでにないものの見方のヒントを得る機会となるだろう

 また、長島有里枝と古橋まどかによる展示は、同じ名古屋市内にある港まちポットラックビルと旧・名古屋税関港寮にて、1月23日まで開催。なお「DOMANI plus」宮城会場は、アーティストの志賀理江子らが参加する「つまずきの庭」展(2月19日~3月13日)を開催予定だ。「DOMANI・明日展」のウェブサイトにて詳細・最新情報をチェックしてほしい。