大川亮コレクションー生命を打込む表現

　青森公立大学 国際芸術センター青森は、ヴィジョン・オブ・アオモリ特別編として「大川亮コレクションー生命を打込む表現」を開催する。

　大光寺村（現・平川市）出身の大川亮（1881〜1958）は、東京・駒場の農業実科と東京美術学校に学び、1903年に帰郷。津軽の農村で生み出されるオリゲラやオリハバキ、コギンの緻密な美しさにいち早く気づいた大川は、明治時代後期、農民生活の急速な変化によって失われつつあったそれらのなかに「生命を打込む（中略）青年たちの自己の表現」を見出し、郷土の工芸からヒントを得たデザインを考案すると、農閑期の副業品を生み出すことで暮らしの安定を目指した。

　東京美術学校（現・東京藝術大学）に学んだこともあった大川は、岡田秋嶺、河井寛次郎やバーナード・リーチら多数の文化人と交流を持ち、大光寺の大川邸には建築家ブルーノ・タウトも訪れた。民藝運動を行った柳宗悦は雑誌『工藝』14号（1932）で「コギン」について語っているが、大川のコギンの収集は、それに先駆けること1908〜9年頃から始められ、そのコレクションにはオリゲラをはじめとする100点を超えるコギンが含まれている。身頃の部分のみが残されたコレクションからは、大川の関心が模様の芸術性にあったことがうかがえる。

　本展では、遺族の協力により、大川亮コレクションからコギンの身頃105点、ケラ6点ほか貴重な副業品の数々も展示。自ら収集したコレクションと、それらがアイデアの源となって生み出されたカラー入れや手提げなどの創作物がともに並び、大川のヴィジョンにふれる貴重な機会となる。

※青森公立大学 国際芸術センター青森は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、1月24日〜2月28日まで臨時休館。休館に伴い、2月13日まで開催を予定していた本展は1月23日をもって終了。最新情報は公式ウェブサイトへ。