EXHIBITIONS

FUJI TEXTILE WEEK 2021 - 織りと気配 -

山梨県富士吉田市下吉田本町通り周辺および地域の機織工場
2021.12.10 - 12.12, 2021.12.10 - 2022.01.09

メインビジュアル

今井俊介 Untitled 2013

大巻伸嗣 トキノカゲ 2019
東京藝術大学大学美術館陳列館での「時間/彫刻 ‐ 時をかけるかたち ‐」展(東京、2019)の展示風景より 写真=副島泰平

奥中章人 INTER-WORLD/SPHERE: The three bodies 2021
写真=白木世志一 提供=北九州未来創造芸術祭 ART for SDGs

手塚愛子 Loosening Fabric #6 (Entangled) 2017
ターナー・コンテンポラリー(マーゲート、イギリス、2017)での展示風景より 写真=Stephen White

武藤 参考画像

宮下織物 参考画像

前田源商店 参考画像

舟久保織物 参考画像

光織物 参考画像

メインエリア:山梨県富士吉田市中心市街地

 山梨県富士吉田市を舞台に、テキスタイルを活用した機屋展示とアート展からなるハイブリッド展覧会「FUJI TEXTILE WEEK 2021」が開催されている。機屋展示「WARP & WEFT展」は、2021年12月10日~12日の3日間。アート展「Textile&Art展」の会期は2021年12月10日~2022年1月9日(12月16日以降はガイドツアー形式で開催 ※現在、機屋工場を巡るバスツアーやプログラムは終了)。

 富士山麓の緑豊かな景観を保つ富士吉田市は、富士山から流れ落ちる清涼な渓流の恩恵を受けて、1000年以上続く織物の町として栄えてきた。しかし、近代化の流れとともに日本のテキスタイルを取り巻く産業が変化し、富士吉田市のテキスタイル産業も多様に変わりつつある。富士山を望み、観光業も盛んな富士吉田市だが、近年は地方創生への眼差しが増えたことで、クリエイターなど、観光以外を目的とした人々も訪れるようになり、そのなかで、富士吉田市と多様な人々が産業と関わり新しい未来を描く「FUJI TEXTILE WEEK 2021」のプロジェクトが始動した。

 本展は、テキスタイルを中心とした地域資源とクリエイティビティを混交し、テキスタイルの創造・普及・活性・継承のためのクリエイションとネットワークを紡ぐべく、富士吉田市街地、周辺の空き店舗、蔵、旧銀行などを舞台に、アート展と機屋展示の2つからなる企画展を展開。「織りと気配」を共通のテーマとして、16の機屋による機屋展示と、10組のアーティストによるテキスタイルをモチーフとした多様なアート作品が点在する。

 3日間行われた機屋展示「WARP & WEFT展」(12月10日~12日)には、オヤマダ、川栄、滝口織物、テンジンファクトリー、光織物、舟久保織物、前田源商店、槙田商店、宮下織物、武藤、渡小織物、watanabe textileが出展。山梨の機織り産地に眠る幻の織物「甲斐絹」から、現代の織物工場から生まれるアイデアやデザイン、独自性のあるテキスタイルやプロダクトをひとつの会場に集め、過去から現代そして未来へ、この土地に根付いた「織と気配」を体験させるような展示となった。

 いっぽうアート展「Textile & Art展」(~2022年1月9日)には、今井俊介、大巻伸嗣、奥中章人、郡裕美、児玉麻緒、高須賀活良、髙畠依子、手塚愛子、西尾美也、maison 2,3が参加。富士吉田市での視察・滞在制作を経て、作家それぞれが織物を素材に手がけた作品を展示し、「堅固な形状を半永久的に維持するはずの彫刻」という概念に対極にある、不定形でしなやかに変化する彫刻の可能性を追求する。

 また「機屋協力プロジェクト」として、児玉麻緒、高須賀活良、髙畠依子、maison 2,3のアーティスト5名と機屋が共同で制作した作品も披露。織物の町・富士吉田市だからこそ実現した、テキスタイル産業とアート表現のユニークで創造的な対話を生み出す。

 富士吉田市のアイデンティティ、そしてテキスタイルの新たな魅力と可能性を発信する本展。1000年以上続く織物の産地で、2つの展示を通じてテキスタイルの未来を考えるきっかけとしたい。