EXHIBITIONS

茶道具取合せ展

2021.12.11 - 2022.02.13

唐物円座肩衝茶入 銘 利休円座 南宋時代・13世紀 五島美術館蔵

 五島美術館が展覧会「茶道具取合せ展」を開催する。展示室に同館の茶室(古経楼・松寿庵・冨士見亭)の床の間の原寸模型をしつらえ、館蔵の茶道具コレクションから約70点を紹介。今回は、室町時代の茶人・武野紹鷗(たけの・じょうおう、1502~55)と桃山時代の茶人・千利休(1522 ~91)が活躍した頃の茶道具を中心に、楽家歴代の茶碗や懐石道具・炭道具とともに展観する(会期中、一部展示替えあり)。

 見どころのひとつは、藁で編んだ座具・円座に似た高台をもつ、中国製(産地未詳)の肩衝茶入《唐物円座肩衝茶入 銘 利休円座(からものえんざかたつきちゃいれ めい りきゅうえんざ)》(陶器/一口、南宋時代・13世紀)。箱書付によれば、もとは本能寺の什物で、三好氏を経て、豊臣秀吉(1536~98)が所持したのち、千利休(1522〜91)へ与えられたものと言われている。その後は徳川幕府の所有となり、姫路酒井家へ下賜された。甑(こしき、頸部)が高く、釉は一重掛けであり、さらに「手瓶」から把手を欠いて「肩衝(かたつき)」へと形状を変えるなど、ほかの名物肩衝茶入との違いが際立っている。

 また特集展示として、茶席での近代の名工による懐石膳の取合せも同時公開。茶事に用いられる様々な茶道具を見比べることができる。